尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の就任式の招待者リスト公開をめぐり、大統領室と行政安全部の一貫性のない釈明が波紋を呼んでいる。就任式直後には関連文書をすべて破棄したと説明していたのに、大統領記録物法違反だとの指摘を受けたことで、ようやく「招待公文書は残っている」と前言を翻したのだ。大統領夫人のキム・ゴンヒ女史が招待した人々が問題になったことで、これを覆い隠すのに汲々としていたのではないかと疑われる。
大統領室のイ・グァンソプ政策企画首席は30日の国会運営委員会で「公文書でやりとりした部分が残っているのは事実で、個人情報が入っている様々なEメールは破棄したと認識している」と述べた。公文書に明示されるか添付されていた招待者名簿は存在することを最終的に確認したのだ。行安部と大統領室は、今月初めに野党に名簿の公開を要求された際「個人情報であるため就任式直後に破棄した」と主張していた。
しかし行安部は28日の国会で「公文書として出された招待対象者名簿は国家記録院への移管を進めている」と述べ、それまでの釈明を覆した。行政安全部のイ・サンミン長官は「実務者の過失」と述べて責任を転嫁した。大統領室も「すべて破棄」(23日)→「5部の要人や主要機関長などの名簿は存在」(28日)→「各界の出席対象者に公文書で要請した部分は残っている」(30日)などと、連日にわたって前言を翻したことで、自ら信頼を裏切った。歴代大統領の就任式招待対象者名簿はすでに大統領記録館に移管されている。大統領記録物と判断したということだ。尹錫悦政権だけは例外というわけにはいかない。
政府はこれまで国民に嘘をついていた格好となった。キム女史との株価操作公募疑惑が持たれているドイツモーターズのクォン・オス前会長の息子、官邸工事特恵受注疑惑が持たれている業者の代表、キム女史の母親とともに残高証明書を偽造した夫婦などが就任式に出席している。すべてキム女史が招待した人々だ。政府が何かを隠そうとする姿勢を見せるほど、疑念と疑惑は大きくならざるを得ない。偽りの釈明について謝罪すべきなのはもちろん、今からでも招待者名簿をすべて公開すべきだ。