尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は3日、チョ・サンジュン弁護士(52)を国家情報院(国情院)の組職と予算を統括する重要職務である企画調整室長に任命した。「尹錫悦師団」の一員だったチョ室長は、キム・ゴンヒ女史のドイツモーターズ株価操作疑惑事件を弁護した人物。
大統領室は3日、「チョ室長には法務部と最高検察庁で人事企画、国際刑事などの様々な分野で働いた経歴がある。対外調整能力が優れている」と人選の背景を説明した。
1999年に検事に任官したチョ室長は、2006年に最高検察庁中央捜査部で「ローンスター廉価売却」事件の捜査を担当したことで尹大統領と縁を結んだ「検察における側近」のひとり。2008年には大統領府民情首席室に派遣され、ソウル中央地検特捜1部副部長時代の2011年にはSKグループのチェ・テウォン会長の横領事件を捜査した。2019年7月の尹錫悦検察総長の就任直後、最高検察庁刑事部長(検事長)に昇進してユン総長を補佐したが、ユン総長とチュ・ミエ法務部長官の対立が深まっていた2020年8月に検察を離れた。キム・ゴンヒ女史の株価操作事件の弁護人として活動した経歴があるため、批判も出ている。大統領室の関係者は「チョ室長がキム女史の弁護人だったことが人事に考慮されたのか」との問いに対し、「(国情院企調室長は)報恩人事をしてはならない席だ。企調室長は国情院内部を取り締まる席なので、検察出身者の起用は無理とは考えられない」と答えた。
尹大統領は首相秘書室長(次官級)にも元検事のパク・ソングン弁護士(55)を任命している。引き継ぎ委に専門委員としてかかわっていたパク室長は、検事時代の2007~09年に国務調整室に派遣されており、ハン・ドクス首相と勤務期間が一部重なる。検察出身者が相次いで重用されているとの指摘に対して大統領室は「検察の経歴というより、様々な分野の業務を高く評価した」と説明したものの、大統領室の内部からは「検察の時に共に働いていた人物だけを使う尹大統領のスタイルがあらわになっている」と指摘する声があがっている。共に民主党も「韓国には、使える人材は検事しかいないのか」と批判した。オ・ヨンファン院内報道官はこの日の書面でのブリーフィングで、「自分の最側近を国情院企調室長に任命したのは、『尹錫悦特捜系ライン』で国情院すら掌握することを意図したもの」だとし、「国中を検事の手に握らせるという大統領の独善と独走には、憤りを禁じ得ない」と述べた。
公正取引委員会の副委員長にはユン・スヒョン同委常任委員(56)、国情院第2次長にはキム・スヨン同院前仁川支部長(63)、科学技術情報通信部第2次官にはパク・ユンギュ同部情報通信政策室長(56)が起用された。一方、IBK企業銀行のユン・ジョンウォン頭取が内定したものの、与党の反発で撤回された国務調整室長については、輸出入銀行のパン・ムンギュ頭取ら2~3人についての検証が進められている。