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今月9日、光州市の北区保健所の選別診療所に設置された防疫守則案内モニターに、最近の感染者数のグラフが示されている/聯合ニュース

　韓国でここのところ新型コロナウイルス新規感染者と重症患者が急増し、連日コロナ防疫状況が悪化している中、政府は国内の拡散の深刻性を示す指標である致命率を遅れて公開した。しかし、重症患者の病床の現状などは正確に公開しておらず、防疫に対する信頼を失っているという指摘が出ている。

　中央防疫対策本部（防対本）は20日、11月の致命率は1.12％だったと今月20日に発表した。段階的な日常回復（ウィズコロナ）直前の10月（0.64％）に比べて2倍近くに上昇した。致命率は「感染患者数に死亡した人の数が占める割合」であり、防疫の成果を直ちに評価できる資料だ。11月は段階的な日常回復から1カ月で新規感染者が3000人ほど増えるほどに新型コロナ拡散の勢いが激しかった時期だが、11月の致命率が12月末になってようやく公開されたのだ。

　政府は11月に致命率を公開しないまま、「世界の主要国のうち韓国の致命率が悪化した」というメディアの指摘を否定していた。ワクチン接種率が高まった後に防疫を緩和した世界主要国のうち、韓国の致命率が悪化したという報道に対しては「正確な致命率を把握するためには時間が必要だ」と返事を先延ばしにした。今月9日には「韓国の致命率が主要国のうち2番目に高いというのは本当か」と問われ、「事実ではない」とし、4日現在の累積致命率は韓国が0.8％で、米国1.6％、英国1.4％、ドイツ1.7％、スペイン1.7％、日本1.1％、カナダ1.7％などと比較して低いと主張した。政府が述べた累積致命率は、新型コロナ流行後の全期間を含めた数値で、11月の段階的な日常回復後に悪化した国内状況を反映していない数値だった。

　政府がこの日発表した11月の致命率は、患者個々人の臨床結果を追跡し、学界でも引用できる厳密な指標ではあるが、急変する感染症の流行状況をすばやく示すことはできない。実際、国際統計サイトである「アワー・ワールド・イン・データ」は米ジョンズホプキンス大学の新型コロナデータを分析し、18日現在の韓国の新型コロナ致命率（12月18日以前の1週間の感染者数に対する12月18日以前の1週間の死亡者数）は1.2％だと発表している。主要国（米国＝1％、日本＝0.8％、ドイツ＝0.76％、英国＝0.23％、シンガポール＝0.4％）に比べて高く、アワー・ワールド・イン・データの統計が韓国の状況をより早く示しているということだ。

　致命率だけでなく、政府は施設での感染者の死亡率の統計も発表せずにいる。新型コロナの重症患者増加の原因を療養型病院などの施設における突破感染（ブレークスルー感染）・集団感染だと分析しながらも、施設でどれほどの数の高齢者が病院に運ばれる前に死亡したかについては公開していない。政府は療養型病院も医療機関だと言うが、保健医療関係者らは療養型病院は「コロナ患者を治療できない場所」だと指摘する。

　最近1000人を超えた重症患者を治療する重症患者用病床についても、政府は正確な資料を発表していない。メディアの要請が繰り返されると、「8月以降、5回の行政命令による重症病床および中等症病床の目標病床として630床（62.1％）を確保した」と答えた。重症患者の病床と中等症患者の病床をそれぞれ個別に発表せず一括して説明することで、動員した病床数を多くみせたのだ。しかし、日常回復（11月1日）以降、重症患者病床は254床の増加に止まり、1337床と確認された。政府が確保したと主張する重症患者病床1337床も、保健関係者らは「医療スタッフが不足し、患者をすべて受けいれることはできない病床」だと口をそろえる。政府は病床の余力があると主張しているのに、現場では入院する病床が見つからない重症患者が続出しているのもこのためだ。

　防疫当局の不透明な情報公開は、政策への対応力や国民の信頼度を下げざるを得ないという批判が出ている。ソウル大学のキム・ユン教授（医療管理学）は「政府が意図する方向で政策を推進するためにデータを選択的に公開し、情報を透明に公開しないことで、信頼も失っている」とし「ワクチン接種後の異常反応と関連しても、地域の医療機関でその疑いがあると送っても疾病管理庁で認めないケースが多いが、なぜそうなるのかについて、より透明に早く資料を公開すれば、ワクチンへの信頼も高まるだろう」と述べた。