文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、新型コロナウイルス拡散による段階的な日常回復(ウィズコロナ)の中断について「申し訳ない」と謝罪した。文大統領は3週間前、感染者の増加に「過去に後退することはできない」としつつ、防疫の意志を強調したものの、「準備が十分ではなかった」ことを認めた。
文大統領は16日、大統領府のパク・キョンミ報道官を通じ「段階的な日常回復の過程で重症患者の増加を抑制できなかった。病床確保などの準備が十分でなかった」、「防疫措置を再び強化することになり、国民に対して申し訳ない」と述べた。
続いて文大統領は「強化された防疫措置の期間に確実に再整備し、状況を最大限安定させ、日常回復の希望を持ち続けていく」とし、医療システムを再整備する考えを明らかにした。また、社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)の強化によって年末の営業損失が避けられなくなった自営業者のために、「損失補償とともに、防疫協力に対してできるだけ手厚く支援する方策を速やかに確定し、迅速に執行する」と付け加えた。大統領府のイ・ホスン政策室長もこの日、文化放送のラジオ番組のインタビューで「ソーシャル・ディスタンシングの強化とともに考慮されるべき部分は、小商工人に対する損失補償」とし「営業時間の制限と人員制限に対して事実上異なる待遇をするのは難しいという観点から、法令改正を検討している」と述べた。
文大統領は先月21日の「国民との対話」で、「政府は、5000人または1万人程度まで感染者数が増える可能性があると考えて準備した。病床を速やかに増やし、医療人材を拡充して、韓国の医療システムが持ちこたえられるようにする」と強調している。
しかし、1日の感染者が1万人に達する前に重症患者用病床の確保に赤信号が灯ったことで、文大統領は約束を守ることができなくなった。このことから、政府の予測と準備が不十分だったという指摘がなされている。国民の力のキム・ジョンイン総括選対委員長はこの日、国会で開かれた記者懇談会で「こうした状況をもたらしたのは、大統領の非常に安易な状況認識」とし「医療専門家の警告の無視、防疫責任者の資質問題、防疫システム内部の混乱と政策の一貫性の欠如などは、文在寅政権の独善から来ている。事前準備と具体的なコンティンジェンシープラン(非常計画)なしに、大統領選挙を意識したウィズコロナを実施した」と批判した。
これに対して大統領府の高官は「重症患者の増加とそれに備えた病床確保は、我々ができうる限り可能な範囲で準備したが、十分ではなかった。現在のコロナの状況に耐えるには十分ではなかった」と述べた。別の政府関係者は「ワクチンの効果が6カ月持たなかったり、高齢者層の突破感染(ブレイクスルー感染)が増加したり、重症患者が増えたりしたため、病床不足の問題が大きくなった。予測を誤った政策に固執するのではなく、早く正すべきだという決定」と説明した。