「言論仲裁および被害救済等に関する法律(言論仲裁法)」改正案をめぐって激しく対立してきた与野党が、「8人協議体」を設置して言論仲裁法改正案を論議した後、秋夕(チュソク、陰暦8月15日、新暦で今年9月21日)の連休直後の9月27日に本会議を開いて処理することで合意した。1カ月間の熟議過程を踏むという突破口を見出したわけだが、与野党の意見の隔たりはあまりにも大きく、合意に至るまでには険しい道のりが予想される。
共に民主党のユン・ホジュン院内代表と国民の力のキム・ギヒョン院内代表は、先月31日午前10時に会談し、最終合意を導き出した。両党が設置に合意した協議体は、民主党と国民の力からそれぞれ議員2人ずつ、両党が推薦したメディア関係者と関連専門家が2人ずつの計8人で構成され、議論の期間は9月26日まで。合意文では「言論仲裁法を9月27日の本会議に上程・処理する」と明示した。
ユン・ホジュン院内代表はこの日午後1時、国会議長室で合意文に署名した後「言論仲裁法の処理が1カ月あまり遅れるが、両党は協議機関を通じて円滑に討論し、単一の修正案を出すことに最善を尽くす」とし「フェイクニュース被害救済法は言論改革の終わりではなく始まりだ。公営放送の支配構造の改善、ポータルニュース編集サービス事業者の社会的責任と公正性を強化するという問題、1人メディアによるフェイクニュースに対する法など、我々が進むべき道は遠く、またなすべきことも多い」と述べた。
キム・ギヒョン院内代表は「メディアが倫理を守ることや、健全な社会的基準に合うメディアの行動基準(作り)は非常に重要だが、それに劣らず重要なのは、大韓民国の自由民主主義体制を守っていく最も大きな柱は言論、出版、表現の自由であるということ」とし「国民の知る権利はいかなる場合にも保障されなければならないというのがわが党の考えだ。メディアがどのように自由な取材活動を行いつつも国民から認められる道を守っていくのか、そのあり方を熟議することが残された1カ月間の課題だ」と述べた。
これまで国会の言論仲裁法論議に沈黙していた文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこの日、与野党の合意を歓迎した。文大統領は「国会で与野党が言論仲裁法改正案についてのさらなる検討のために、熟成の時間を持つことを決めたことを歓迎する」と述べたという。大統領府のパク・キョンミ報道官が明らかにした。
言論仲裁法改正案に批判的だったメディア・社会団体の評価は分かれた。民主社会のための弁護士会や言論人権センターなどは、協議体の設置にひとまず肯定的な反応を示しつつ、実質的な被害救済と毒素条項の削除に向けて踏み込んだ議論が行われるべきだと強調した。言論人権センターのユン・ヨジン常任理事は「協議体では『メディア報道による被害の救済の強化』という趣旨だけに焦点を絞り、『虚偽・ねつ造報道』概念の導入および故意・重過失推定条項、記事閲覧遮断請求権の新設については全面削除、または再検討する必要がある」と述べた。一方、言論改革市民連帯は「言論仲裁法は『時限付き協議』ではなく『社会的合意』を通じて処理すべき」と主張している。放送記者連合会、全国言論労働組合、韓国記者協会、韓国放送技術人連合会、韓国PD連合会のメディア5団体も「言論・表現の自由という核心的憲法価値と直結する重大な事案を、保守二大政党が密室で取引する現在の状況を強く糾弾する」と述べた。