「70%のみに支給」発表後、公平性めぐり議論
民主党、選挙前の民意不穏で
先週「全国民に支給」事実上の結論
「中心支持層」共働き世帯の反発を遮断する効果
大統領府「選挙介入と映る」言葉控える
統合党「民主党が我々の提案を受け入れた
支給金額など主導権を握っていく」
政府発表からわずか1週間で、共に民主党が6日に緊急災害支援金の支給対象を全国民に拡大しようと提案した背景には、投票日を控えて動揺する「底辺の民意」に対する憂慮がある。支給対象から外された所得階層を中心として政府与党に対する批判論が広がっているという報告が、選挙区候補者から殺到したのだ。この日の発表により、災害支援金の支給をめぐる論争が公正性問題に飛び火する状況はひとまず免れたというのが、民主党の選挙区候補たちの全般的評価だ。
6日のハンギョレの取材を総合すると、民主党は先月30日に政府が「所得下位70%に災害支援金を支給する」と発表した直後から、支給対象の拡大について悩んでいた。選挙区議員らの訴える現場の世論が穏やかではなかったためだ。同党関係者は「懸念どおり『自分より金持ちの友人は受け取るのに、自分はもらえない』といった反発が深刻だという報告が選挙運動をはじめた議員から多く寄せられた。『所得下位70%』という基準を定めるのも大変だった」と説明した。
意見集約に乗り出した民主党指導部は、事実上2~3日ごろに支給対象を全国民に拡大するとの結論を下したという。未来統合党のファン・ギョアン代表が5日、「全国民に対し1週間内に1人当たり50万ウォン(約4万4400円)を支給しよう」と提案したことへの対応ではないということだ。党関係者は「先週金曜日(3日)に最終結論を出したが、ニュースの波及力などを考慮し、週明けまで発表を見送った」と述べた。
ただ、ファン代表の提案が民主党の負担を軽くしたのは明らかだ。カン・フンシク首席報道担当はこの日、記者団に対し、「野党の協力を得るのは容易でないと考えていたが、ファン代表が昨日全国民に支給しようと言ったので、合意の余地は広がったと判断する」と述べた。民主党関係者は「わが党が先に提案していたら『ポピュリズム』と攻撃された可能性もあるが、ファン・ギョアン代表が私たちの負担を非常に軽くしてくれたことに感謝している」と述べた。
先週の高官級の大統領府、政府、与党の三者協議会で、災害支援金の支給対象と規模について与党寄りだった大統領府は、言葉を控えている。選挙介入という批判にさらされるのが負担となるためだ。大統領府関係者は「与党と事前に協議したことはない。補正予算案をまとめるのは政府で、審査するのは国会だ。政府は『所得下位70%支給』に合わせて補正予算案を提出するだろう」と述べた。しかし、民主党の同日の発表が、大統領府との調整なしに出た独自のものだという見方は多くない。民主党関係者は「大統領府との事前調整はあった。企画財政部は依然として反対の立場だが、統合党があれほど前向きに出てくるのだから、全面的な反対は難しいだろう」と述べた。
与党の候補たちは、選挙の悪材料となりうる政策的雷管の一つが除去されたと歓迎する雰囲気だ。当初の政府案どおりなら、民主党の中心支持層である大都市居住の正規職共働き世帯の相当数が支給対象から除外されうるためだ。政治コンサルティング「ミン」のパク・ソンミン代表は、「所得下位70%を基準として支給することは、選挙を控えた与党には良くない要因だ。今日の発表でリスクを適切に管理することに成功したと評価しうる」と述べた。
未来統合党は、ファン代表の先制的提案が民主党の立場の変化を引き出したと自ら評価した。統合党関係者は「民主党が我々の提案を受け入れたことで、災害支援金問題の主導権は我々に移った。支給金額はいくらにするか、財源はどのように調達するかなどの問題が依然として残っている。この部分でも主導権を我々が握っていく」と述べた。