共に民主党が所得下位70%世帯に支給することにした緊急災難支援金100万ウォン(4人家族基準)を全世帯に拡大支給する方策を推進することにした。前日、ファン・ギョアン未来統合党代表が国民1人当たり50万ウォン(約4万4千円)を支給することを提案したのに続き、与党も「全国民支給」を約束し、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による経済危機」に備えた災害支援金をめぐる議論が新しい局面に入った。
共に民主党のイ・ヘチャン代表は6日午前、釜山で開かれた選挙対策委員会で「緊急災害対策では地域や所得、階層に関係なく、すべての国民を国家が保護していることをきちんと示すことが重要だ」とし、「今回の総選挙が終わり次第、すべての問題を綿密に検討し、対策を練り上げることを約束する」と述べた。チョ・ジョンシク民主党政策委議長は、ハンギョレとの電話インタビューで、「4人家族基準で100万ウォン(約8万8千円)で全国民に支給する案が有力だ」と述べた。「4人家族100万ウォン」という当初の政府案の支給額規模は維持する一方、支給対象は拡大する案だ。民主党は支援対象を拡大すれば計13兆ウォン(約1兆1500億円)の財源が必要になると推算している。当初の政府案(9兆1000億ウォン)より3兆9000億ウォン(約3500億円)増えた規模だ。
これに先立ち、ファン・ギョアン統合党代表は先月5日、国民向けブリーフィングを開き、「大統領が緊急財政経済命令権を発動して一週間以内に金融機関を通じて(1人当たり50万ウォンを)支給すべきだ。必要な25兆ウォン(約2兆2200億円)の財源は2020年予算である512兆ウォン(約45兆5千億円)を再構成して調達すれば良い」と政府に要求した。当時、ファン代表は「政府が決めた健康保険料基準の緊急災害支援金は現金で支給されないだけでなく、支給基準に対して国民に多くの不満と混乱をもたらしている」とし、商品券や電子マネーの代わりに現金支給を提案した。
これまで支援金政策をめぐって鋭く対立してきた与野党が、全国民に支援金を支給する方向で意見をまとめたのは、総選挙を控えた状況で“選別支給”に否定的な世論を意識したためとみられる。これまで全国民を対象にした災害基本所得について「現金ばらまき」や「買票行為」などと非難してきた統合党が方針を変えたことを受け、災害支援金をめぐる世論悪化を恐れていた与党が立場を変えたのだ。カン・フンシク民主党首席スポークスマンは「(ファン代表発言に先立ち)党内で既に全国民に支援金を支給すべきだという要求が続いており、検討中だった」とし、「補正予算は野党の協力が必須であるため心配していたが、ファン代表の発言によって(合意の)可能性が高まったのは事実」だと説明した。
与野党の態度の変化について企画財政部の関係者は「今は非常経済会議を通じて決定された下位70%に対する災害支援金支給の具体的基準をできるだけ早期に確定し、財源対策を盛り込んだ補正予算案を国会に提出する方が優先課題」だとし、「総選挙後の補正予算案の審査過程で支援対象を拡大しようという要請があれば、その時増額の可否を検討できるだろう」と述べた。