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賛成派「支援対象の死角地帯解消」を歓迎…企財部「既存案の国会提出が優先」

登録:2020-04-07 01:41 修正:2020-04-07 14:02
普遍支給提案に食い違う反応 
一部から「財政余力を残しておくべき」懸念 
高所得層を対象に「選別回収」提案も
新型コロナウイルス感染症の余波で経営に困難をきたしている事業主が2日、大邱雇用センターで雇用維持支援金を受けるために関連書類を提出している//ハンギョレ新聞社

 6日に与野党が緊急災害支援金の支給対象を全国民へと拡大するという方針を明らかにしたことを受け、専門家の間では歓迎と憂慮の立場が交錯した。「下位70%世帯当たり最大100万ウォン(約8万8700円)支給」という先月30日の非常経済会議の決定を受け、財源対策と補正予算案を準備している企画財政部は、既存の計画による補正予算案の国会提出が優先という反応を示した。

 普遍的支給に賛成する専門家と市民団体は、選別支給による行政費用を減らすことができ、死角地帯も解消できるという点で、与野党の立場を変えたのは妥当だと口をそろえた。政府は所得下位70%の判断基準として健康保険料を用いる予定だが、会社員の相当数(100人未満の事業所)や自営業者は少なくとも1年前の課税所得を基準に健康保険料が定められる。そのため、最近の被害状況を把握するのは困難という短所がある。国家財政研究所のイ・サンミン首席研究委員は「新型コロナウイルス(COVID-19)による無差別的な被害と選別過程で生じざるをえない公平性論議を考慮すれば、現時点では普遍支給に切り替えるのは正しい」と述べた。

緊急災害支援金をめぐる政界の立場の変化//ハンギョレ新聞社

 しかし、COVID-19事態が長期化した場合、追加財政の必要性は小さくないだろうという点を挙げ、与野党の決定を憂慮する意見もある。慶北大学のチェ・ハンス教授(経済学)は「社会保険の死角地帯を埋め、被害階層に対する支援範囲を広げるという趣旨で試みられた方策という点で、依然として選別支給の原則は正しいと思う。COVID-19による真の影響はまだ韓国経済に及んでいない可能性もあるため、今は財政の余力を残しておく必要がある」と述べた。

 とりあえず普遍的に支給し、後で高所得層に対象を限って「選別回収」しようという提案もあった。「私が作る福祉国家」のオ・ゴンホ共同運営委員長は「行政的便宜および不必要な論議を減らすという観点から普遍支給を行うものの、対応力に余裕のある所得上位階層に対しては、社会的連帯の観点から回収する方策を設計すべき」と提案した。韓国開発研究院国際政策大学院のユ・ジョンイル院長も、普遍支給を行ってから、2021年以降に高所得者に対し「特別付加税」を課すことを提案した。

 財政当局である企画財政部は、依然として普遍支給に消極的な態度だ。企財部の関係者は「限られた資源である財政による支援は、脆弱階層に集中しなければならないという『垂直的公平性』の原則を守るべき」と述べた。また「COVID-19事態の長期化に備え、国家債務管理の必要性に対する共感が必要だ」と付け加えた。緊急災害支援金の緊急性を考慮すれば、新たな案件の論議より、現在進行中の9兆1000億ウォン(約8070億円)規模の補正予算案の編成を急ぐのが先決だという現実論も掲げた。

 ただし、企財部の関係者は「両党が国会議員選挙後、補正予算案の審議過程で増額に合意して要求してきた場合、政府がこれに同意するかたちで支給対象を拡大することはできるだろう」と述べた。

 現在の政府案の必要財源は9兆1000億ウォンほどだ。未来統合党のファン・ギョアン代表の主張どおり、国民1人当たり50万ウォン(約4万4400円)を一括支給するには、約25兆ウォン(約2兆2200億円)が必要となる。全世帯を対象に世帯当たり100万ウォン(4人世帯基準)支給しようという共に民主党のイ・ヘチャン代表の主張には、約13兆ウォン(約1兆1500億円)が必要になるとみられる。

ノ・ヒョヌン、イ・ギョンミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/935901.html韓国語原文入力:2020-04-06 21:01
訳D.K

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