共に民主党と政府はキム・ヨンギュンさん1周忌を迎え、発電産業労働者の安全強化策を12日に発表した。政府与党が今年8月のキム・ヨンギュン死亡事故特捜委の勧告に応えたことや、労働災害統合管理制の適用などの新たな対策を打ち出したことは評価する。しかし、肝心の「死の外注化」構造に対する対策としては不十分と言わざるを得ない。「技術的」アプローチだけでは労災事故を止めることができないという事実は、今年も絶えない数多くの死が証明しているではないか。
政府与党の履行計画には、来年から発電産業も元請と下請の労災を統合管理するといった内容とともに、公共機関の経営評価に労災予防および作業現場の改善要請を受け入れたかどうかを反映▽公共機関新設を通じた燃料・環境設備運転分野の労働者の正社員化の推進などが盛り込まれた。元請企業と下請企業の労働者間の死亡事故「減点差別」をなくすことにし、疑惑が浮上した人件費の着服を防ぐための様々なシステムも設けられた。
しかし、下請労働者に労災事故が集中する理由が元請と対等な位置で働けない構造そのものにあることを考えると、これを避けて通る対策だという批判は免れない。特捜委が民営化・外注化の撤回や電力産業の再編を求めたことについても、政府与党は「現実的条件」を理由に否定的な回答を示した。特に、勧告の第一項に挙げられた直接雇用問題は、通常整備と燃料・環境設備の運転を分離したうえ、それすら本社の直接雇用ではなく子会社による雇用だ。今年2月の政府与党間協議と変わっていない。子会社による雇用は、何が何でも「悪い」というわけではない。しかし、子会社が現場で親会社と対等な権限を持てるだろうか。「責任の空白」状態を解決できないこのやり方は、「もう一人のキム・ヨンギュン」が出るのを防ぐには限界があることは明確だ。
先日の国家人権委員会の発表によると、最近5年間の発電5社における労災での死傷者の97.6%が下請け労働者だった。全体の27%に過ぎない間接雇用労働者に労災の大半が集中しているのだ。「直接雇用は原則的に正しいが、直接雇用はできない」というこの日の発表が、非正規労働者の絶えぬ死を前にして、どうして合理化できるのか疑問だ。今すぐ構造を変えることは難しくても、少なくとも方向性は明確であるべきだが、今はそれさえも信頼を失いつつある。安全強化策の徹底とともに、政府による正社員化の取り組みに対する抜本的な点検が急がれる。