金剛山(クムガンサン)観光の再開と国連の対北制裁の関連性を巡り、統一部長官と外務部長官の発言に不協和音が聞こえるなど、政府内の混線が感知されている。
リュ・ギルジェ統一部長官は19日、「2015年の大統領業務報告」のブリーフィングで、「金剛山観光事業は北朝鮮の核実験のために中断された事業ではなく、私たち観光客の殺害事件のために中断された事業だというのが政府の見解だ」と述べた。これに先たち政府高位当局者は18日、「業務報告の事前ブリーフィング」で、「政府は(金剛山観光の再開が)まだ国際制裁に抵触するとは思っていない」とした。この当局者は「ただし金剛山観光について南北間でどのような議論も行われていないため、政府がああだこうだと立場を明らかにするような段階ではない」と付け加えた。
金剛山観光事業の中断自体が、北朝鮮の核実験と関連した対北朝鮮制裁の実行前に行われた別の事案なので、中断事由自体が解消されれば、観光を再開しても国際制裁に抵触しないと判断しているという意味だ。政府の立場をすぐにでも示さなければならないほど、急を要するわけではないとの前提をつけたが、金剛山観光の再開についてはかなり積極的な立場を示唆したものである。
しかし、ユン・ビョンセ外交部長官は19日、別途に行われた「業務報告」のブリーフィングで、金剛山観光の再開が国連の対北制裁決議案に違反するのかを問う質問に、「北朝鮮の大量破壊兵器(WMD)の能力増加に繋がるかが(判断の)核心だ 」としながら、「最終的には国連安保理の対北制裁パネルで結論を下すだろう」と述べた。 「抵触しない」との政府独自の判断を前面に出したリュ長官の発言とは異なり、国連安全保障理事会で抵触するとの結論が下される可能性まで念頭に入れた発言である。この場合、南北が合意しても国連が反対すれば、観光再開は難しくなる。
2人の長官のニュアンスの違いは、金剛山観光の資金が大量破壊兵器(WMD)の開発に使用できる「バルクキャッシュ」(大量の現金)に当たるかを巡る見解の違いから生まれたものと思われる。金剛山観光は、2008年の「南側の観光客の銃撃殺害」事件で中断された。以来、国連はこれはと別に、北朝鮮による光明星号の発射と3回目の核実験の強行後、対北朝鮮制裁決議案2087ㆍ2094号を通じて、北朝鮮のバルクキャッシュの提供を禁止した。外交部など政府の一部からは北朝鮮が殺害事件の再発防止策を出しても、観光代金支払い方法を変えないと、観光再開は不可能だとか、北朝鮮住民との接触が少ない金剛山観光再開を急ぐ必要はないという主張も出ていると伝えれられた。
韓国語原文入力:2015.01.19 20:37