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「離散家族再会」と「5・24措置解除」、南北対話で異なる思惑

登録:2015-01-04 23:03 修正:2015-01-05 16:41
それぞれの最優先課題に違い
対話の形式にも調整が必要
金正恩北朝鮮労働党第1書記が1日、平壌労働党中央委員会庁舎の執務室で新年辞を発表している。労働党機関紙『労働新聞』は金正恩新年辞を1面と2面で全文掲載した。 朝鮮中央通信/連合ニュース

 昨年末の南側統一準備委員会による南北対話提案に続き、年始には北側の金正恩労働党第1書記の「最高位級会談も出来ないことはない」という発言が出てきて、南北対話再開の展望が明るくなっている。 北朝鮮は金第1書記の新年辞以後、4日まで対南非難や誹謗を自制するなどムードを盛り上げようとしているようだ。 南側でも普段は記者たちが接触するのが容易でない高位当局者が相次いで「北朝鮮が新年辞で示した変化の兆候を南北関係改善の方向に引っ張っていく必要がある」と対話の意志を表明するなど積極的な対応を見せている。

南北関係変化の予想および議題。 //ハンギョレ新聞社

 しかし、南北が実質的関係改善に至るまでには越えなければならない山が多い。 南北はまず対話形式の調整から行わなければならない。 リュ・キルチェ統一部長官は先月29日「統一準備委員会政府副委員長や民間副委員長が、南北が合意した場所で北側と会うことを願う」として、統一準備委員会次元の対話を提案したことがある。一定程度“反民半官”形態を帯びた対話を示唆したわけだ。 しかし金第1書記は新年辞で“高位級会談”“部門別会談” “最高位級会談”だけを挙論した。全て当局間対話だ。これに関して統一部は「すべての形式の対話の門が開かれている」として、特定形態の対話に固執する考えはないことを明らかにしたが、事前調整の過程ではせめぎ合いも予想される。

 相互の関心事の差異も解消されていない。 南側は依然として離散家族の対面を最優先課題と感じている反面、北側は対北朝鮮封鎖政策である5・24措置の解除と金剛山(クムガンサン)観光の再開を希望している。

 先ず北側が南側の最優先課題である離散家族対面を簡単に受け入れるかが疑問だ。昨年2月に離散家族対面行事に応じたが、その後は代価どころか南北関係がさらに悪化しただけだった前例があるためだ。今回は5・24措置や金剛山観光などと関連した“先担保”を要求する可能性がある。

 しかし、5・24措置などに対する南側の態度にどれほどの変化があるかは疑問だ。 リュ長官は先月29日、5・24措置などと関連して「南北間で互いに関心がある懸案は全て議論可能だ」と余地を残して置いた。 しかし、相変らず「天安(チョナン)艦に対する責任ある措置が先行しなければならない」という原則は維持している。

 北朝鮮は韓米連合軍事訓練の中断も要求している。 キーリゾルブとトクスリ(鷲)訓練、乙支(ウルチ)フリーダム・ガーディアン訓練などを狙ったものだ。 しかし韓国軍当局は「現在、訓練中断の計画はない」という立場であり、北朝鮮の対応如何によっては対話の障害になる素地がある。 しかし、かつて南北対話が比較的活発だった金大中・盧武鉉政権時期にも韓米連合訓練が行われていた事例を挙げ、決定的な変数にはならないという見通しも出ている。

 対北朝鮮ビラ散布問題に加えて、今春には国連北朝鮮人権事務所がソウルに開設される計画がある。 北側がどのように反発し、南側がどのように対応するかが南北対話の新たな変奏曲になるものと見られる。

パク・ビョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/672083.html 韓国語原文入力:2015/01/04 21:50
訳J.S(1443字)

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