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【社説】医学部生・専攻医の復帰約束もなしに医学部増員を原点に戻すのか

登録:2025-03-07 08:32 修正:2025-03-07 09:30
ソウル市内のある医学部のがらんとした講義室/聯合ニュース

 政府が来年の医学部の定員を増員政策推進以前の2024学年度の水準に戻す方向で方針を固めた。にもかかわらず、当の医学部生たちは依然として復帰の意思を明らかにせず、さらなる要求を掲げようとするばかりだ。政府は復帰の約束も取り付けることなく、医学部の増員を原点に戻そうというのか。

 与党「国民の力」のクォン・ソンドン院内代表は6日、緊急の政府与党大会合の開催後、「来年度の医学部募集人員は増員以前の3058人にするのが妥当だ」としつつ、「政府と医療界はこの案を積極的に検討すべきだ」と述べた。昨年の政府による医学部増員推進によって、今年の定員は従来より1509人増の4567人だった。それを原点に戻すというのだ。

 すでにイ・ジュホ教育部長官も、医学部のある全国40大学の総長に、このような案を受け入れるよう説得している。すでに新入生の増員に備えて施設を拡充し、教授を増員した大学としては、受け入れ難いものだった。教育部は7日に、大学の総長たちと共に「学生復帰および医学部教育正常化」に関するブリーフィングを行うことにしている。1年以上続いた専攻医と医学部生の実力行使になす術のなかった尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は結局、白旗を掲げることになったわけだ。

 しかし医学部生たちは、いまも授業復帰の意思を明らかにしていない。大韓医学部・医学専門大学院学生協会は、2024年入学生以上の医学部生の96.6%が大学に休学の意思を伝えていると述べている。今年入学した新入生の大半も、先輩たちと共に動いている。彼らは必須医療パッケージ政策の撤回、医学部増員の白紙撤回などを要求しているという。政府は医学部生の授業復帰を前提に来年の医学部定員を増員推進以前の水準にするというが、肝心の当事者たちにはまったく動きがないわけだ。必須医療パッケージは医師の拡充だけでなく、必須・地域医療の強化や保険非適用診療に対する厳格な管理などを含んでいるが、医療界は政府の一方的な推進だとして反発してきた。

 政府と医療界は早急に公式の交渉テーブルについて出口を探るべきだ。医学部生が授業に復帰しさえすれば解決するというものでもない。必須医療の最前線にいる専攻医も戻ってこなければならない。何よりも、彼らは事実上、集団行動を取っているため、どちらか一方を説得しただけでは糸口を見出すのは困難だ。早急に医療の空白を収拾する一方、今後、医師拡充をはじめとする医療改革をどのように推進するかについてのロードマップを示すべきだ。それが、これまで医学部増員を支持してきた患者と国民に対する最低限の道理だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1185711.html韓国語原文入力:2025-03-06 19:49
訳D.K

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