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[寄稿]韓国の大学は世界と競争できるのか

登録:2024-04-04 05:50 修正:2024-04-04 09:54
キム・サンギュン|認知科学者・慶煕大学経営大学院教授
ゲッティイメージバンクより//ハンギョレ新聞社

 韓国大学。ドラマで架空の大学を指す時によく登場する大学名だ。この文では、韓国のすべての大学を韓国大学と称しよう。

 世界には大学、成人教育市場を狙って活発に展開されているMOOC(Massive open online course:ムーク)プラットフォームが多数ある。MOOCとはインターネットを基盤に多様なテーマの教育コンテンツを無料または低価格で不特定多数に提供するプラットフォームだ。世界3大MOOCとして、「コーセラ(Coursera)」、「エデックス(eDX))、「ユーデミー(UDemy)」が挙げられる。韓国でコーセラの講座を受講する人は70万人を超える。全世界の加入者は1億人を突破した。そんなコーセラが講座に自動翻訳サービスを導入すると発表した。もちろん、今も講座一つを様々な国の言語で字幕を通じて見ることができるが、人工知能(AI)への投資を拡大し、その質を画期的に引き上げると宣言したのだ。長期的には音声、口の形まで人工知能を通じて多様な言語に合うように変える計画だ。米国の大学教授が英語で専攻の授業をするのに、まるで韓国人教授が授業するように韓国語に聞こえ、口の形も合わせてくれるといったものだ。筆者もコーセラの講座をたまに聞いているため、受講生としては非常に嬉しいニュースだ。

 実際、コーセラのこのような戦略はそれほど真新しいものでもない。アマゾンやテム、ネットフリックスなど世界市場で活躍する流通・コンテンツ企業の戦略を見ると、本質はコーセラと似ている。あらゆる製品、サービス、コンテンツで壁を壊している。国内の放送局は米国企業のネットフリックスに、国内の流通会社は中国企業のテムにますます多くの市場を取られている。その延長線で、コーセラは教育から国、言語、制度の壁を崩そうとする。

 このように壁が崩れている状況で、大学の名前が教育コンテンツやサービスの品質、持続性を保障するのはますます難しくなると予想される。これまで韓国社会で、大学はその名前だけで、卒業生が成し遂げたレベルを保障する役割を果たしてきた。しかし、このような役割、機能はすでに失われ始めた。社会が個人の学習、成果をあげるまでの経路を細かく追跡し、精密に測定し分析する方向に進化しているためだ。

 筆者がコラボしてきたある企業の状況を例に挙げよう。かつては、主に名門大学の卒業生を中心に新入社員を採用していたが、ある時期から認知度の低い大学の卒業生たちもかなり入社し始めた。変化の背景は単純だ。以前は、誰がどれだけ仕事ができるのかの判断が難しく、大学と学科名に重きを置いていた。ところが、社員たちの累積された業務記録、新入社員が研修期間中に見せた成果をAIで精密に分析し始めた。社会的なステータスではなく、企業の目で直接判断したデータを信じ始めた。大学名の持つ後光が光を失っていくのを見せてくれる一面だ。

 今や韓国大学は教育コンテンツの持つ本質的な価値を巡り、広くて厳しい世界と向き合わなければならない。世界の大学、MOOCプラットフォームの高い波に立ち向かわなければならない。韓国大学はAIが壁を崩す時代、目の前に迫ったグローバル化時代にきちんと備えているのか。集団主義時代の慣習から抜け出せなかった大学システム、依然としてスローガンだけの革新、外国大学の教授が執筆した教材を韓国語に訳して説明するのにとどまる授業、学習者の思考力と挑戦意識を刺激できない教授法と授業環境。このようなものを背負って押し寄せる高波を乗り越えられるのかを考えると、気が重くなる。

//ハンギョレ新聞社
キム・サンギュン|認知科学者・慶煕大学経営大学院教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1135124.html韓国語原文入力:2024-04-03 19:09
訳H.J

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