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2023年のソウルの私大生、入学から卒業まで9740万ウォン必要

登録:2023-10-25 09:05 修正:2023-10-25 13:19
今年3月、ソウル東大門区の慶熙大学プルンソル文化館内にある食堂で、学生が並んでいる/聯合ニュース

 2023年現在、ソウルの4年制私立大学に通う大学生が入学から卒業までに負担する授業料、生活費、住居費などの「大学教育費」は9740万ウォン(約1080万円)に達することが分かった。月平均の世帯所得を1年8カ月間、1銭も使わずにすべてつぎ込んではじめて、1人の大学生が教育を終えられる、ということになる。最近の授業料引き上げの兆しを考慮すると、大学生の教育費負担はさらに重くなるとみられる。

 国会教育委員会に所属する共に民主党のユ・ギホン議員は24日、大学教育研究所と共同で「大学生の生活費用に関するレポート2」を発行した。入学選考料、授業料、住居費、生活費、就職準備費用の5項目に分け、ソウル所在の4年制私立大学に通う自炊生を基準として学業と生活にかかる費用を推計したもの。休学または1年の卒業猶予期間を含め、大学に5年間通うという前提で費用を計算した。教育部から提出を受けた国政監査の資料、統計庁の経済活動人口調査の資料、ソウル研究院の「2021ソウル青年パネル調査」の資料などをもとにした。ハンギョレは次のような条件の人物を仮定して報告書の内容を再構成した。

自炊しながら「インソウル大卒者」になるには9740万ウォン必要

 ナ・サンギョンさん(19)は今年、ソウルの4年制私立大学の人文系学科に入学した。激しい入試競争から解放された喜びもつかの間、学費と生活費の心配で気が重い。サンギョンさんが大学進学のために最初に払った費用は「入学準備金」だ。受験生は願書を随時選考で6回、定時選考で3回提出できるが、ナさんは9回の機会をすべて使った。願書提出で使った費用だけでも48万ウォン(約5万3500円。2023学年度私立一般・教育・産業大学の平均随時選考料は5万4000ウォン(約5460円)、定時選考料は3万6000ウォン(約3640円)、修学能力試験の受験手数料4万7000ウォン(約5230万円))だ。

 本格的に金が出ていくのはそれからだ。ナさんは今年1、2学期に770万ウォン(約85万7000円。2023年の私立大学1年生の平均年間授業料)の授業料を払った。授業料が卒業するまでまったく上がらないとしても、ナさんは4年生までに計3080万ウォン(約343万円)の授業料を負担しなければならない。

 地方から上京したナさんにとっては住居費負担も侮れない。運良く寮に入居できたため、1カ月に支払っているのは23万6000ウォン(約2万6300円。2022年私立一般・産業大学の1人当たり月平均寮費)だけだが、この生活がいつまで続けられるかは分からない。寮の定員は十分あるわけではないため、3年時から外に出て暮らす人が多い。ナさんも3年生になったら家賃50万ウォンの一人暮らしの部屋(2021年のソウル地域の大学生の平均家賃49万ウォン(約5万4600円))に移る考えだ。ナさんが大学に通っている間に支払う住居費は、保証金を除いても2178万ウォン(約243万円)に達する。

 1日2、3回食事したり、学校と家とを行き来したり、希望する職につくために努力したりするにも金がいる。切り詰めて過ごしたとしても1カ月に68万ウォン(約7万5700円)の生活費(2021年のソウル地域の大学生の1カ月の生活費)が必要で、その生活を5年間続けたとしても4200万ウォン(約468万円)の生活費がかかる。定められた学期を終えて就職準備期間を1年間とると、240万ウォン(約26万7000円。「進学社キャッチ」の就職準備費用に関するアンケート調査で回答者数が最も多かった「10万ウォン以上~30万ウォン未満」の中間値)ほどかかる。

 このような費用をすべて合わせると、ナさんの大学入学から卒業までに出ていく費用は9740万ウォンにのぼった。統計庁の資料によると、2023年第2四半期の月世帯所得は479万ウォン(約53万3000円)。1年8カ月にわたって世帯所得をすべてつぎ込んではじめて、1人の大学生が教育を終えられる計算だ。兄弟姉妹がいたり就職準備期間が長引いたり、物価が急激に上がったりすれば、「インソウル大卒者」になる道はよりいっそう険しくなる。

授業料引き上げの兆し、増える教育費負担

 ユ・ギホン議員と大学教育研究所が2015年に発行した「大学生の生活費用に関するレポート」によれば、1人の大学生が入学から卒業までに負担する大学教育費(入学準備金、授業料、住居費、生活費、就職準備費用など)は8510万ウォンだった。8年前より大学生の教育費負担は1200万ウォンほど増えているわけだ。

 さらに、これは授業料が上がらないことを前提に計算したものだ。今年6月の韓国大学教育協議会の夏季セミナーに参加した全国の4年制大学の総長86人に対して行われたアンケート調査では、回答者の41.7%が「2024学年度に授業料を引き上げる計画がある」と答えているため、今後授業料が上がる可能性は高い。報告書で、最近5年間の平均物価上昇率(2.4%)を適用した授業料引き上げ額を計算したところ、授業料は258万ウォン増の3338万ウォン(約371万円)に跳ね上がった。このように授業料が上がれば、住居費や生活費などのその他の費用がすべて上がらなかったとしても、1人の大学生が大学5年間で支払うことになる教育費は1億ウォンを超える。

 ユ・ギホン議員は「学生と保護者が負担する大学教育費はかなりの額であるため、大学生は学資ローンを組んだりアルバイトをしたりしなければならない」とし、「このところの家賃と物価の上昇で住居費と生活費が急騰している中、授業料引き上げが連日叫ばれているため、大学教育費負担を懸念する声も高まりつつある。大学教育費が家計に過重な経済的負担にならないよう対策を講じるべきだ」と語った。

キム・ミンジェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/1113503.html韓国語原文入力:2023-10-25 07:00
訳D.K

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