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[社説]「政権保衛用」の政治審議乱発する放審委に存在理由があるのか

登録:2024-01-30 06:41 修正:2024-01-30 08:16
放送通信審議委員会のリュ・ヒリム委員長が22日、ソウル市の放送会館の大会議室で開かれた第3回放送通信審議委員会の定期会議を開いている=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 リュ・ヒリム放送通信審議委員長の就任以来、放送会社の時事・報道番組に対する法定制裁が大きく増えたことが明らかになった。曖昧な規定であるがために乱用の恐れがあるとして絶えず問題提起が行われてきた放送審議規定の「公正性」条項を適用した審議の割合が、リュ委員長体制で圧倒的に高まった事実も確認された。審議権力を政府に批判的な報道機関を締め付けるのに悪用してきた放送通信審議委員会(放審委)の「政治的審議」が、具体的な数値で確認されたのだ。政権を保衛するための言論検閲機関に転落した放審委の現状が如実にあらわれたといえる。

 ハンギョレは野党「共に民主党」のコ・ミンジョン議員室を通じて確保した放審委の「第1~5期報道・教養番組に対する法定制裁現況」(2008~2023年)に対する分析結果を29日付で報道した。その内容によると、放審委はリュ委員長就任後4カ月足らずの期間(2023年9月11日~12月)に27件の法定制裁を議決した。月平均7.04件だが、これは文在寅(ムン・ジェイン)政権のカン・サンヒョン委員長(2.88件)、チョン・ヨンジュ委員長(0.64件)時代の法定制裁件数の2.4~11倍に達する。李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)政権時代の第1~3期放審委の月平均法定制裁件数(1.41-5.02件)と比べてもはるかに多い。

 リュ委員長体制で行われた法定制裁27件中25件(92.6%)が放送審議規定の「公正性」関連条項が適用された審議だった。以前の委員長時代はこの割合が29.4~48.1%程度だったことと比べれば、圧倒的に高い数値だ。「公正性」は概念自体が抽象的なので、審議委員のスタンスによって恣意的に解釈される余地が大きい。どちらでも取れるわけで、乱用されやすい。さらに、放審委は与党の推薦委員が過半数を占めるなど、そもそも政府・与党の影響力に振り回されるのが避けられない構造だ。リュ委員長体制の放審委が公正性を理由に法廷制裁を議決した25件は、一様に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領など権力を批判する内容が含まれた時事・報道番組だった。

 放審委は30日、尹錫悦大統領の「卑俗語」(バイデン-台無しにすれば)発言を扱った「文化放送」(MBC)など放送局の報道に対して審議を再開する。今回も「公正性」関連条項である放送審議規定第14条(客観性)を適用する方針だ。特にこの事案はまだ訴訟が進められている最中であるため、政府批判報道を狙った「標的審議」という批判を免れないだろう。このように偏った審議を日常的に行う放審委が「公正性」を掲げること自体が、実に厚かましいことだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1126387.html韓国語原文入力: 2024-01-30 01:34
訳H.J

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