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KBS新社長の就任初日、政権批判番組が次々と打ち切り=韓国

登録:2023-11-14 07:30 修正:2023-11-14 09:29
パク・ミンKBS社長、出勤初日に時事番組の打ち切り・アンカー交代 
言論労組KBS本部「法的責任を問う」
11月10日のニュース9//ハンギョレ新聞社

 韓国放送(KBS)のパク・ミン社長の就任初日から、これまで与党勢力から「不公正放送」と攻撃されていた時事番組が突然編成から外され、出演者が交代させられるなど、KBS内部では制作の自主性の侵害と不当な人事が物議をかもしている。全国言論労働組合(言論労組)KBS本部は13日、パク社長の就任式直後にKBS本館で記者会見を開き、「今回の措置は放送法で保障された『放送編成の自由と独立』を侵害したもの」だと反発した。

韓国放送公社(KBS)のパク・ミン新社長が13日、ソウルのKBS本社で就任のあいさつを述べている=KBS提供//ハンギョレ新聞社

 労組の説明を総合すると、13日朝、社内のネットワークを通じて、月曜日から木曜日の夕方の時間帯に編成されていた時事番組「ザ・ライブ」(KBS2TV)がまるごと削除された事実が判明した。労組は声明で「会社側は制作スタッフと何の議論もなく編成自体を削除してしまった。当面は編成の削除と代替に過ぎないが、事実上の打ち切りの手順に突入したもの」だと主張した。「ザ・ライブ」の放映時間には、大河歴史ドラマ「高麗契丹戦争」などが再放映される。

 出演者の降板とアンカーの交代も相次いだ。労組の話によると、ラジオセンターでは前日夕方、次期センター長の内定者が「チュ・ジヌ・ライブ」の担当プロデューサーに電話でチュ・ジヌ氏の降板を通知し、制作スタッフが拒否の意向を明らかにすると、「社規に言及して脅迫してきた」という。さらに、チェ・ギョンヨン記者の辞職後、時事番組「最強時事」を担当している後任の進行者(キム・ギファ)と、報道本部で「ニュース9」を担当するアンカーのイ・ソジョン氏も交代通知を受けたことが確認された。

 「チュ・ジヌ・ライブ」などは、与党が「不公正放送」だとする主張を続けていた代表的な番組だ。7日に開かれた当時KBS社長候補だったパク・ミン氏の人事聴聞会の場では、与党「国民の力」所属の議員を中心に「チュ・ジヌ」という名前が11回言及された。「チュ・ジヌ・ライブ」に対し、「あのような虚偽、歪曲、偽り、ねつ造をそのままにしておいていいのか。一罰百戒の責任を負わせなければならないのではないか」(パク・ソンジュン議員)という質問が出ると、当時社長候補だったパク・ミン氏は「そのように措置する」と答えた。

全国言論労働組合と言論労組KBS本部が13日、ソウルのKBS本館の前で記者会見を開き、この日就任したパク・ミンKBS社長の辞任を求めている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 労組は法的責任を問うという立場だ。KBSは労使団体協約(2022年)を通じて「編成・制作・報道の責任者は実務者の意見を尊重しなければならない」(第22条)、「番組改編前には制作スタッフと協議しなければならない」(第31条)などの規定を明示している。放送法も同様に第4条を通じて「放送編成の自由と独立」を保障している。労組は「パク・ミン体制の役職者を放送法および団体協約違反で告発する計画」だと伝えた。

 番組改編とあわせて大規模な人事措置もなされた。KBSは12日12時、本部長・センター長・局長級72人に対する人事発令を発表した。言論労組の韓国放送本部長はこの日、ハンギョレの電話取材で「人事や社長就任の前に、番組の出演者の交代が指示されたことが確認されている。無理に押し切ったため、9時のニュースのアンカーは視聴者に最後のあいさつもできなかった」とし、「こんな状況は入社以来初めて」だと述べた。

 パク・ミン社長は13日、就任のあいさつで「公共放送を個人や集団の理念や所信を実現する場と考える方々は、今後はKBSに居場所はない」としたうえで、「受信料を浪費する積弊を一掃しなければならない」と述べた。

 パク社長は前日の12日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領によって第26代KBS社長に任命された。14日に「国民に向けた記者会見」を行う予定だ。

パク・カンス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/media/1116090.html韓国語原文入力:2023-11-14 02:30
訳M.S

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