尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が12・3内乱事態に対する捜査と弾劾審判の引き延ばしを図っている。憲法裁判所の弾劾審判書類の受取を拒否し、合同捜査本部の出頭要求にも応じない。戒厳失敗後「法的・政治的責任を回避しない」と大口をたたいた時とは全く違う。
憲法裁は23日、尹大統領の裁判遅延にブレーキをかけた。尹大統領弾劾審判書類が尹大統領に「発送送達」されたと結論を下し、27日に弁論準備期日を予定通り進行すると明らかにした。発送送達は、郵便書類が相手方に到着すれば受領しなくとも受け取ったものとみなす。裁判当事者が正当な理由なしに書類の受取を拒否した場合、裁判を故意に遅延させているとみて下す措置だ。
尹大統領は弾劾審判の書類受取を執拗に拒否してきた。憲法裁が書類を龍山(ヨンサン)の大統領室に送っても、受取人がいないという理由で返送し、漢南洞(ハンナムドン)の官邸に送れば、警護処が受取を拒否した。以前にあった二回の大統領弾劾審判では、ここまでみじめなことはしなかった。盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領は国会弾劾訴追案が可決された翌日、朴槿恵(パク・クネ)元大統領は国会議決の1時間後に弾劾審判書類を受け取った。国会の弾劾訴追に対する意見書も1週間以内に提出した。裁判では争うが、憲法裁の弾劾審判手続きには最大限協力したのだ。
尹大統領は捜査機関の出頭要求にも応じていない。合同捜査本部は尹大統領に対し、25日に被疑者として出頭するようにという2回目の出頭要求書を送ったが、尹大統領は受領を断った。これに先立って検察と公捜処の出頭要求も一度ずつ拒否している。尹大統領側は、弁護人を確保できなかったという理由を挙げている。しかし、尹大統領の友人として知られるソク・ドンヒョン弁護士が19日に記者会見を開き、内乱容疑に逐一反論したことを見れば、すでに弁護団が構成され捜査に備えているとみられる。何よりも尹大統領が捜査の経験の多い専門家なのに、何と苦しい言い訳だろうか。
非常戒厳事態以後、国全体が危機に陥っている。一日も早く内乱犯罪に対する断罪が行われ、憲政を回復させなければ、危機は長期化するだろう。合同捜査本部は、尹大統領が25日にも出頭しなければ、逮捕状を請求し身柄の確保に乗り出さなければならない。もし警護処が尹大統領の逮捕状の執行を阻止すれば、これは特殊公務執行妨害罪に当たる。その場合、関係者は全員厳しく処罰しなければならない。誰が何と言おうと気にもしない傍若無人で傲慢な態度を、主権者である国民はいつまで我慢しなければならないのか。