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[社説]韓国経済、外れた見通しに誤った政策、不確実性が不安へと変化

登録:2023-10-05 23:42 修正:2023-10-06 07:59
5日午後、ソウル中区のハナ銀行ディーリングルームの電光掲示板にKOSPI、為替相場、KOSDAQ指数が表示されている/聯合ニュース

 「上低下高」とは、韓国経済が今年上半期に底を打ち、下半期には本格的に回復するという、政府の楽観的な経済見通しを集約した表現だ。政府はこれまでの見通しをいまだに固守しているが、現実との距離は次第に広がりつつある。回復の兆しは非常に微弱で、高物価と高金利が経済主体を再び押さえつけている。不況が長引きそうだという不安が高まっている。

 最近のドルと市場金利の急騰、株価の急落は、市場参加者が政府の楽観論をもはや信じていないことを示している。外国人投資家は投資を引きあげつつあり、企業と金融機関は流動性確保競争によって金利を引き上げている。景気回復と企業業績の回復に対する期待が失望へと変わったことに伴い、株価は急落した。経済主体が感じている将来の不確実性が不安へと変化すれば、好循環はいっそう難しくなる。

 政府は誤った経済見通しが誤った政策へとつながったことを明確に認識すべきだ。韓国銀行は今年1月に年3.5%へと政策金利を引き上げたものの、それで早々と金利引き上げをやめた。米国との金利差が広がる中、政府は不動産市場を軟着陸させるためだとして40兆ウォン(約4兆4000億円)近い特例住宅ローンを市場に投じた。すでにかなり前から危険を告げる警告灯が点灯するほど膨らんでいた家計負債を少しでも減らすべき時期に、逆に大幅に増やしてしまったのだ。今やドルが大幅に上がり、外国人投資家が逃げ出しているが、政策金利を引き上げるのは容易ではない。金利引き上げが景気回復に致命傷を与える可能性が高いからだ。金利引き下げはさらに考えられない。通貨政策が通じなくなってしまっているのではないかという懸念は大きい。

 家計負債を管理しつつ、景気後退の谷が深まり、かつ長引くことを防ぐことこそ、政府の経済運用の当面の課題だ。政府は来年の韓国経済の成長率を実質2.4%(名目4.9%)と予測したうえで、来年の予算案を組んだ。今年下半期の回復に自信を持って立てた楽観的な経済見通し。信用できない。見通しが来年ふたたび外れれば、経済主体の苦しみが長引くのはもちろん、韓国経済の成長の潜在力が少なからず損なわれる結果へとつながりうる。

 通貨政策の運用幅が狭いだけに、せめて財政政策では柔軟さを発揮すべきなのに、政府は財政政策すら自ら縛りつけている。今年の60兆ウォン(約6兆6000億円)ほどの税収の減少に、政府支出を減らして対応しているのだ。来年の政府支出も、増加率を2.8%に抑える超緊縮予算案を組んでいる。国会審議が本格化する前に現実を冷静に振り返り、もう少し長い目で政策を再整備してほしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1111009.html韓国語原文入力:2023-10-05 18:05
訳D.K

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