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尹錫悦を大統領にした人々が責任取るべき【コラム】

登録:2024-06-25 00:45 修正:2024-06-25 10:19
ソン・ハニョン|政治部先任記者
尹錫悦大統領が20日、慶尚北道浦項市のブルーバレー産業団地の二次電池総合管理センターで行われた第9回地方時代委員会および機会発展特区投資協約式に出席し、発言している=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は大統領選挙の翌朝、「議会と意思疎通し、野党と共同統治する。国政懸案については国民と率直にコミュニケーションを取る」と述べた。「記者たちとの懇談会を頻繁に行う」とも述べた。

 あっという間に2年が過ぎた。彼は議会と意思疎通しなかった。野党との協治も行わなかった。国民とコミュニケーションを取らなかった。記者との懇談会を頻繁に行うこともなかった。約束を守らなかった。

 4・10総選挙の結果は、尹錫悦政権に対する審判と解釈するに十分だった。尹錫悦大統領は総選挙の翌朝、「総選挙で表れた国民の意思を謙虚に受け止め、国政を刷新し、経済と民生の安定のために最善を尽くす」と述べた。

 あっという間に2カ月が過ぎた。彼は総選挙の民意を謙虚に受け止めなかった。国政を刷新しなかった。経済と民生は安定していない。約束を守っていない。

 国民の力のハン・ドンフン元非常対策委員長は23日、党大会で行われる代表選への出馬を宣言した際に次のように述べている。

 「この2カ月は反省と革新の格闘をお見せすべきゴールデンタイムだった。我々は国民の要求に黙して語らず、むしろ退歩する姿ばかりをお見せした。国民は『まるでガラパゴスに住んでいる人たちのようだ、本当に審判された人たちなのか。しかも勝者のように行動している』とすら言っている」

 ハン・ドンフン元委員長にこのようなことを語る資格があるかは分からないが、言っていることは全面的に正しい。

 現実世界における尹錫悦大統領は、彼自身が表現した通り「ほぼ植物大統領」だ。しかし、尹錫悦大統領とキム・ゴンヒ女史、チョン・ジンソク秘書室長が共に暮らす仮想世界では「正常な大統領」のようだ。一体どうするつもりでいるのだろうか。本当にこのまま3年間耐え忍ぶつもりなのだろうか。

 総選挙で惨敗したにもかかわらず尹錫悦大統領が勝者のように振舞っている理由は、2つあると推定される。

 1つ目、政治を知らないから。誰にでもできるようでありながら、誰にでもできるわけではないのが政治だ。経験のない人間がうまくやれないのが政治だ。

 2つ目、共感能力に問題があるから。ある保守系新聞の社説は「他の人々と考えや情緒を共有する共感能力が不足している」と書いている。足りないのではなく、まったくないように思える。

 政治を知らず、共感能力もない人間が大統領になったとすれば、結局のところ大統領を選び間違えたことになる。投票した人たちが責任を取ることはできない。有権者に罪はない。

 しかし、彼を大統領にした者たちは責任を取るべきだ。政権奪還に目がくらんだ、いわゆる保守系論客、極右系ユーチューバー、そして国民の力の責任党員たちこそ、先頭に立って尹錫悦を大統領にした者たちだ。

 朝鮮日報のコラムニスト、キム・デジュン氏は2020年12月22日付の同紙に、「尹錫悦に注目する」というコラムを書いた。尹錫悦検察総長が文在寅(ムン・ジェイン)大統領を相手取って裁判所に仮処分を申請した直後だった。

 「我々はここに尹錫悦という人物の指導者の資質を見る。これまでこの国の権力者たちは、政界の周辺で術数の要領を学び、数回の選挙を経て国会に進出し、ライバルたちと泥仕合を繰り広げた末に、指導者の仲間入りを果たしてきた。尹錫悦は異なる」

 今年3月26日付の同紙にはこう書いている。

 「選挙の結果、民主党が第一党となれば、政局の主導権はイ・ジェミョン代表に移らざるを得ない。尹政権はできることが何もなくなる。そのような状況において、尹大統領はもはや名ばかりの大統領の座におさまっていることはできない。国の混乱を避けるためには、彼の決断が必要となり得る」

 そう言っておきながら、総選挙後の4月16日付同紙では、周囲の人々の言葉だとして、次のように述べている。

 「尹大統領が目を覚ましてこの国を導いていくことこそ、それでも我々が今取りうる最善の方法だと言った。尹政権がいくら駄目でも、親北左派勢力がうごめぐよりはましだとも言った」

 そうだろうか。結局「ほぼ植物大統領」として3年耐え忍べという話だ。韓国のいわゆる保守は恥知らずだと思う。このままでは国が滅びる可能性もある。それでもよいのか。

 いわゆる「保守」が尹錫悦検察総長を大統領に押し上げたのは、はなから誤った選択だった。

 良心があるのなら、今からでも謝罪すべきだ。尹錫悦大統領を辞任させ、大統領選挙をやり直す覚悟をすべきだ。

 尹錫悦大統領に圧力をかけ、任期短縮分権型大統領制改憲に取り組ませるべきだ。

 それが嫌なら、保守勢力全体が尹錫悦政権とともに没落せざるを得ない。よく考えてみてほしい。

//ハンギョレ新聞社

ソン・ハニョン|政治部先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1146211.html韓国語原文入力:2024-06-24 16:43
訳D.K

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