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[社説]「北朝鮮に軍事衛星支援」明らかにしたプーチン大統領…韓国外交、試験台に

登録:2023-09-14 08:30 修正:2023-09-14 09:04
北朝鮮の金正恩国務委員長とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が13日、ロシアのボストーチヌイ宇宙基地で首脳会談を行う前、ロケット発射所などを見学している/ボストーチヌイ宇宙基地/ロイター・聯合ニュース

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は13日、ロシア極東のボストーチヌイ宇宙基地で首脳会談を行い、武器取引をはじめとする軍事・経済協力について議論し、戦略的密着を誇示した。プーチン大統領が北朝鮮の偵察衛星開発を支援するという意向を表明したことで、韓国の安全保障にとって深刻な負担がさらに増すことになった。

 両国は詳細な内容を公開しなかったが、2時間にわたり行われたこの日の首脳会談では、北朝鮮はロシアがウクライナに対して使用する砲弾などの武器を支援し、ロシアは北朝鮮に軍事技術と経済的な支援を行うことで合意したとみられる。特に、この日の会談に先立ちプーチン大統領は、北朝鮮の人工衛星開発を支援するのかについての質問に「だからこそ我々はここ(ボストーチヌイ基地)に来たのだ」と述べた。北朝鮮が切望する偵察衛星の確保のために、ロシアが関連技術を移転する可能性を示唆したのだ。金正恩委員長は、ロシアが「覇権勢力に対抗する神聖な戦い」をすることに「常に共にする」として、武器支援を示唆する発言をした。

 ロシアが実際に北朝鮮にそうした先端軍事技術を移転する場合、北朝鮮による核とミサイルの脅威は、過去とは比較にならないほど強まることになる。何より、2006年の北朝鮮核実験以来17年間にわたり、国連安全保障理事会(安保理)の対北朝鮮制裁を通じて北朝鮮の核兵器の能力強化を阻止し、非核化に向かおうとしてきた枠組みは、事実上無力化される。韓国が北朝鮮核問題の危機に対応する重要な道具が消えることになるという点で、強く懸念される状況だ。

 北朝鮮とロシアの密着を作り出した中心的な要因は、ロシアのウクライナ侵攻だ。西側から孤立して武器不足に直面したロシアに対する北朝鮮の戦略的な重要性が急速に高まり、金正恩委員長はこれを積極的に活用することで、制裁を無力化することに利用している。ロシアがウクライナを侵攻した2022年2月以降、ロシアは中国とともに安保理で対北朝鮮制裁案に拒否権を行使し続けてきた。経済難に直面している北朝鮮は、労働者を大量にロシアに派遣し外貨を稼ぐと予想される。

 韓米日一辺倒の外交に重点を置いてきた尹錫悦(ユン・ソクヨル)外交も、試験台に立たされている。まずは、ロシアが今回の会談結果を韓国に説明すると明らかにしたので、政府は北朝鮮とロシアの合意内容を正確に把握し、それに応じて対ロシア外交をはじめとする効果的な対応戦略を設けなければならない。朝ロの密着が朝中ロの結束強化につながることを防ぐために、中国との外交で突破口を作るよう、柔軟な戦略的知恵を発揮すべき時だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1108405.html韓国語原文入力:2023-09-14 02:39
訳M.S

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