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宇宙基地で開かれた朝ロ首脳会談…武器と技術の交換なるか

登録:2023-09-14 06:35 修正:2023-09-14 07:24
北朝鮮、ロケット関連技術力の確保が急がれる 
ロシア、ウクライナ戦で砲弾など不足の解消が切実 
食糧・労働者送出が取り上げられた可能性も
北朝鮮の金正恩国務委員長(右から2番目)とロシアのウラジーミル・プーチン大統領(右端)が13日、ロシアのアムール州ボストーチヌイ宇宙基地で、宇宙発射場のロケット発射台施設などについて関係者から説明を聞いている=ボストーチヌイ/ロイター・聯合ニュース

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が13日、ロシアのボストーチヌイ宇宙基地で首脳会談を行った。会談後に共同宣言や合意文などの文書に署名することはなかったが、金委員長は「戦略的協力」を強調し、プーチン大統領は北朝鮮の人工衛星開発を支援する方針を表明するなど、今回の首脳会談で軍事協力に関する協議がかなり進展したものとみられる。

 プーチン大統領はこの日、北朝鮮との武器・技術の取引に乗り出す考えを積極的に示した。プーチン大統領は会談に先立ち、「北朝鮮の人工衛星開発を支援するのか」というロシアの記者団の質問に対し、「だからこそ、我々がここ(ボストーチヌイ宇宙基地)に来たのだ」と述べ、「金委員長はロケット技術に大きな関心を示している。北朝鮮代表団は優秀なプログラムを開発しようと努力している」と答えた。

 北朝鮮は今年5月と8月に軍事偵察衛星を打ち上げたが失敗した。5月の打ち上げは衛星「万里鏡1号」を載せたロケットの2段推進体の異常で失敗に終わり、8月の打ち上げでは非常爆発システムに不具合が生じた。北朝鮮は宇宙強国ロシアの衛星打ち上げの経験と技術を伝授されることを期待している。

 韓国科学技術政策研究院のイ・チュングン名誉研究委員は「現在、北朝鮮の衛星はロケット内の高空エンジン側で問題が発生しており、(これを解決するためには)ロシアから適切な地上装備の支援を受けたり、直接エンジンをロシアに持ち込んで実験を行うなど、様々な案が考えられる」と説明した。北朝鮮は10月、再び偵察衛星を打ち上げる予定だ。

 韓国と米国などは、ロシアなどが北朝鮮に衛星技術を提供するのは国連安保理制裁の違反だとけん制しているが、人工衛星の特性上、平和的使用も可能であることから、制裁を避けられるという分析もある。国家安保戦略研究院のチェ・ヨンファン責任研究委員は「平和的利用と軍事転用がいずれも可能な衛星のような二重技術の場合、(国際社会が)強く非難するには曖昧な側面がある。北朝鮮とロシアは今後、この部分から協議していくものとみられる」と語った。

 ロシアは衛星技術を提供する見返りに、北朝鮮から砲弾や弾薬などの通常武器の供与を望んでいる。戦争開始から1年半が過ぎたウクライナ戦で使用する砲弾の在庫量が不足しているためだ。このような武器取引は国連安保理決議違反だ。これと関連し、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は会談前に「両首脳は武器取引について話し合うのか」について、「もちろん隣国として公開あるいは発表されてはならないセンシティブな分野で協力している」と述べた。また、金委員長が会談後、プーチン大統領との夕食会で、「帝国主義に対抗して戦うことにロシアと(行動を)共にする」と発言したことも、ロシアのウクライナ戦争を支援する意味ととらえられる。金委員長は「英雄的なロシア軍と人民が勝利の伝統を輝かしく継承し、(ウクライナ)特別軍事作戦と強国の建設という2つの戦線で無限に貴重な名誉ある成果を確実に示すと強く確信している」とも語った。

 さらに金委員長は、朝鮮半島と欧州の政治状況についてプーチン大統領と話し合ったとし、ロシア訪問が「朝ロ関係を盤石の戦略的協力関係に転換する重要な契機になると確信している」と強調した。北朝鮮の通常武器とロシアの先端軍事技術を交換する関係を暗示した内容とみられる。

 米国は北朝鮮とロシアに向けて、砲弾と衛星技術の取引を行った場合は追加制裁を加えると警告した。しかし、ロシアはこのような圧迫を無視する態度を示してきた。この日もロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、ロシア国営テレビのインタビューで、「北朝鮮に対する制裁は(今とは)全く異なる地政学的状況で採択された」とし、「西側諸国が対北朝鮮制裁を課す際に提示した対北朝鮮人道支援の約束は嘘であることが明らかになった」と述べた。

 韓国の北韓大学院大学のキム・ドンヨプ教授は「北朝鮮とロシアはともに制裁を受けており、ウクライナ戦争で米ロ関係が悪化したうえ、朝米関係、南北関係もいずれも良くない中、国連制裁は大きな問題にはならないだろう」とし、「重要なのはこうした状況で朝ロ関係が大きく格上げされたという点」だと強調した。

 ロシアがすぐに原子力潜水艦技術を北朝鮮に移転する可能性は高くないとみられる。米国やロシアなどの軍事強国は、原子力潜水艦のように安全保障に関連した重要な先端技術は、たとえ友好国だとしても簡単には渡さないからだ。チェ・ヨンファン責任研究委員は「核技術のような高度な先端技術の移転は核拡散防止を主な国益に設定したロシアにも負担になる」とし、「これから朝ロ協力のレベルは韓米の対応を見ながら進展させるという意図もあるだろう」と見通した。ただし、北朝鮮とロシアの合同演習が議題に上がった可能性もある。

 プーチン大統領は首脳会談の冒頭発言で「我々は明らかに経済協力問題、人道主義にかかわる問題、地域状況について話し合う必要がある」と述べた。経済状況の苦しい北朝鮮にとっても経済分野での協力が重要だ。このため、両国首脳会談では北朝鮮が必要とする食糧やエネルギーを含め、交通や農業分野の協力も話し合われた。

 タス通信は、プーチン大統領が会談後に「ロシア第1チャンネル」に出演し、「運送と物流、鉄道、道路などと関連したプロジェクトを企画している」とし、「農業発展に関してもロシアが支援する部分がある」という趣旨での発言をしたと報じた。ロシアのハサンと北朝鮮の咸鏡北道羅津(ナジン)の鉄道連結事業による輸送の拡大も取りざたされている。同事業は2001年に朝ロ首脳間の合意で始まったが、北朝鮮の核実験と制裁などで2013年から中断された状態だ。

チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1108438.html韓国語原文入力:2023-09-13 22:29
訳H.J

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