ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はなぜ今、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と会おうとするのだろうか。
米紙ワシントンポストは11日(現地時間)、プーチン大統領が金委員長に会う目的は「より多くの弾薬」を手に入れるためだと報じた。ロシアは昨年2月末にウクライナを侵攻して以来、1年半以上戦争を続けている。激しい戦闘が続き、弾薬の在庫が消費量に追いつけず、北朝鮮から弾薬を確保しようとしているというのだ。
ウクライナ側の説明によると、ロシア軍は1日4万発から6万発に達する砲弾を使っているという。これはロシアの生産能力を上回る量であり、今後も攻撃を続けるためには弾薬の輸入が欠かせない。
ロシアの政治アナリスト、セルゲイ・マルコフ氏は「ロシアは何よりも弾薬を必要としている」とし、「砲弾にここまで莫大な費用がかかるとは誰も予想できなかった」と述べた。さらに「(朝ロ間で)非常に真剣な交渉が行われている。金委員長が到着すれば、これは合意がなされたことを意味する」と語った。
ロシアの防衛産業界は今年砲弾生産を増やしているが、依然として戦争による需要を下回っている。ロシアは昨年170万発を生産したが、今年は250万発まで拡大生産する計画だ。しかし西側では、ロシアが今年700万発に達する砲弾を発射すると予想している。
英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)で地上戦について研究するジャック・ワトリング上席研究員は、ロシアが北朝鮮の相当な水準の弾薬在庫だけでなく、「生産能力」そのものに注目していると指摘した。ワトリング氏は「すでに(ロシアは北朝鮮から)支援を受けている。重要なのはロシアが北朝鮮から安定的かつ持続的に弾薬を供給してもらえるかどうかだ」と語った。さらにロシアの「(弾薬)需要と供給にかなりの乖離がある」としたうえで、ロシアがすでにイランのように安価でありながらも互換可能な弾薬生産先に目を向けていると指摘した。
専門家らは、ロシアが北朝鮮の旧ソ連製砲弾に興味を持っているとみている。ドイツのシンクタンクのドイツ外交政策協会(DGAP)は、8日に発表した報告書で、ロシアにとって最も魅力的な弾薬は自分たちが使用するのと同じ122ミリ口径の多連装ロケットシステム(MLRS)のBM21グラートだと指摘した。その他にも、北朝鮮は旧ソ連製の152ミリ口径のM1955(D20)牽引砲と122ミリ口径のD30曲射砲などを使用しているが、これらもロシアに注目されている可能性がある。