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[社説]米国の盗聴否定し、嘘でかばった韓国国家安保室は国民に謝罪すべき

登録:2023-04-15 06:27 修正:2023-04-21 09:48
米連邦捜査局(FBI)要員たちが13日(現地時間)、米国防総省の機密文書を流出させた疑いでマサチューセッツ州防衛軍空軍所属のジャック・テシェイラ一等兵をノース・ダイトンにある自宅で逮捕している=ノース・ダイトン/ロイター・聯合ニュース

 韓国国家安保室に対する盗聴内容を含む米国防総省の機密文書を流出させた疑いで、米国の州防衛軍の一等兵が逮捕された。数日前、キム・テヒョ国家安保室第1次長が「かなりの数の情報が偽造された」と言い切ったが、今や流出文書が原本であることを否定するのは難しくなった。韓国政府が最初から状況を冷静に判断するよりは、差し迫った尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の米国国賓訪問に支障を来すのではないかとひたすら米国をかばい、急いで火消しに走ったためだ。すぐにばれる嘘をついたことに対して、国民に謝罪し、厳しく責任を問わなければならない。

 キム次長は11日、米国に出国する際、韓米国防相の電話会談を根拠に「偽造ということで韓米の評価が一致した」と主張した。しかし米国側は明示的に「偽造」と言ったことがなく、韓国国防部が出した公式資料にも「偽造」という言葉は登場しない。キム次長はワシントンに到着後、「米国が『悪意を持って』(盗聴・通信傍受を)したという情況は見つかっていない」と述べ、この問題を戯画化させた。取材陣が流出文書の真偽を尋ねると「同じ主題で質問するなら(質疑応答を)終わりにする」と高圧的な態度を見せる場面もあった。国民に対し「この問題はこれ以上聞かず、問い詰めるな」という傲慢な姿勢であるだけでなく、かえって尹錫悦政権の苦しい立場をあわらにすることで、疑念を膨らませたわけだ。「大統領室の保安に穴が開いた」事実に不安を感じる国民に対し、最小限の謝罪の気持ちすら示していない。尹政府の大統領室の公的イメージを大きく損ねた行為だ。実際、ロイド・オースティン米国防長官は同日、「出所と流出の範囲を明らかにするために最善を尽くす」とし、事実上流出した文書が原本であることを認める発言をした。

 さらに13日(現地時間)、機密文書を大量に流出させたマサチューセッツ州防衛軍の空軍所属の一等兵が逮捕される姿が報道を通じて世界に伝えられた。それを受け、韓国政府高官はようやく同日開かれたワシントン特派員懇談会で、盗聴されたかどうかについて「政府も確定していない。まだ明らかになっていないということだ」とし、前言を翻した。また「相手が我々を対象に情報活動を行う可能性はどの国にもある。我々もそのような活動をしないと保障することはできない」と述べた。米国を弁護するために「我々も盗聴する」というふうに外交的自傷行為をしたわけだ。

 国家安保室に対する盗聴という厳しい状況を前にして、大統領室は米国に真相究明を要求するよりも、最初から「盗聴はなかった」「同盟を損なうな」と内部に矛先を向けた。事実が次第に明らかになり、結果的に自ら信頼を落としたことが確認されている。14日、韓国ギャラップが公開した尹大統領の支持率が約5カ月ぶりに20%台に急落し、不支持の最も重要な理由として「外交」が挙げられた。民意の厳しい警告だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1087966.html韓国語原文入力:2023-04-15 02:30
訳H.J

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