米国の中央情報局(CIA)が韓国の国家安保室を盗聴した事実の波紋が広がるなか、韓国政府のウクライナ戦争関連の砲弾支援に関する具体的な数値が記された米国の機密文書と推定される文書が出回っている。
10日にSNS上に出回った、米政府が作成したと推定される文書「韓国製155ミリ砲弾33万発輸送計画」(ROK 155 Delivery Timeline 330K)をみると、輸送計画が一覧に作成されている。一覧をみると、上段には「機密」と表示されており、期限は72日と記されている。D-デイに向けた10日目には約4700発、41日目には15万3000発を輸送すると記されている。イスラエルにある米軍の戦時備蓄物資を意味する「WRSA-I」という単語も登場する。イスラエル国内にある米軍戦時備蓄砲弾を含む砲弾を輸送するという意味だとみられる。また、慶尚南道の鎮海(チンヘ)港を出発し、ドイツ北部のブレーメン近隣のノルデンハムに砲弾を輸送するとみられる表現も登場する。
ただし、文書には韓国製155ミリ砲弾の最終目的地がウクライナなのか、あるいはポーランドなどの他の場所なのかを知ることができる表現は登場しない。
これに先立ち、米国紙「ニューヨーク・タイムズ」は8日、韓国の国家安保室が3月初めにウクライナに砲弾を提供するよう求める米国の要求に苦心したという内容が、SNSを通じて流出した米国の機密文書に出てくると報じた。同紙は、CIAの機密文書には、当時のイ・ムンヒ外交秘書官がキム・ソンハン国家安保室長に「砲弾供給の要請に従う場合、米国がエンドユーザーにならない可能性があり、韓国政府は苦境に陥った」と発言したことが記されていると報じた。これに対しキム室長は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の今月26日の米国国賓訪問の発表(3月7日)を控えて政策を変えたという事実を発表すれば、米国と「取引」したと認識されかねないとして、代わりに155ミリ砲弾33万発をポーランドに販売し「迂回提供」することにしてはどうかと提案したことが記されている。昨年11月には、韓国の155ミリ砲弾10万発を米国が購入する案に韓米の国防長官が原則的に合意し、その砲弾がウクライナに渡されたと「ウォール・ストリート・ジャーナル」が報じたことがあった。
今回の機密文書について国防部は「ウクライナに対する様々な人道支援案を検討中」だと明らかにした。国防部は、公開された文書の内容を知っている人がほとんどおらず、信頼性を確認するのは難しいとみているという。また、この文書で言及された事項は、韓米間で協議された内容ではないと主張した。