先週末、ソウル都心で大規模な集会が行われた。進歩団体からなる「ろうそく勝利転換行動」が22日午後4時からソウル市庁駅周辺で「キム・ゴンヒ特検、尹錫悦(ユン・ソクヨル)退陣のための全国集中ろうそく大行進」を行ったのだ。約100メートル離れたところで「イ・ジェミョン拘束」を叫ぶ保守団体の対抗集会も行われたが、尹錫悦政権発足から6カ月も経たないうちに大規模な政府糾弾デモが起きたことの方をより重視すべきだ。
これまでも小規模な集会は行われてきたが、今回のろうそく集会は規模が急激に拡大した。警察は、参加人数は午後5時ごろの時点で約1万5000人あまりだと推計した。警察が当初予想した7000人の倍を超える人数だ。主催者側は30万~40万人が参加したと主張している。韓国ギャラップの調査で大統領の国政支持率が5週連続で20%台にとどまるほど、尹錫悦政権に対する国民の不満と不信が膨らんでいる中、検察発の報復政局が本格化したことで反発が強まったと解釈される。ろうそく勝利転換行動は11月19日に再び大規模集会を行うことを予告している。これに対抗して保守団体も集会へと結集することで政治の中心軸が街頭へと移る可能性が排除できなくなった。
しかし、政局が極端な対立へと向かい、政治が消え失せてしまう事態は防がなければならない。経済状況は悪化し続けている。今は政府と国会が当面の国民生活の懸案を処理すべき時だ。納品単価連動制、安全運賃制のサンセット条項延長など、優先処理すべき法案を議論するために与野党が合意して作った民生経済安定特委の活動は、31日で終了する予定だ。時間はあまり残されていない。来年度予算国会も目前に迫っている。尹錫悦大統領が25日に国会で2023年度予算案の施政演説を行えば、国会は予算案と予算付随法案を審議し、12月2日までに処理しなければならない。
共に民主党のパク・ホングン院内代表は23日の記者会見で、国会無視と野党弾圧についての尹大統領の謝罪を求めつつ、「信頼回復のための最小限の措置がなければ施政演説は決して認めない」と語った。大統領室は「国民生活が厳しい時期には、国会は慎重な姿勢を示してほしい」と反論した。野党の施政演説ボイコットが現実のものとなれば、対立はさらに激化するだろう。民生法案の処理はもちろん、予算審議さえまともに行われない事態が起きかねない。誰にとっても得にならない道だ。報復政局に閉じ込められて政治が消え失せないよう、与野党双方が冷徹な判断をしなければならない。国政が麻痺しないよう政府与党はよりいっそう重い責任感を持たなければならない。