野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表が21日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と与党「国民の力」に向けて「大庄洞(テジャンドン)特検(特別検察官による捜査)で政治捜査を終わらせ、暮らしの問題に全力投球しよう」と述べ、大庄洞疑惑に対する特検を逆提案した。また、イ代表は「政治資金どころか、飴一粒たりとも受け取っていない」として、大統領選挙資金関連疑惑を再度否定した。しかし、国民の力は「意図的な時間引き延ばしであり、焦点ぼかし」だとし、直ちに反対の意思を明らかにした。
イ代表は、国会で開かれた特別記者会見で「大統領と与党に公式要請する」とし、「火天大有(大庄洞開発で多額の利益を得た資産管理会社)と大庄洞の開発に関する特検を受け入れてほしい」と述べた。
イ代表は「特検はこれまで提起されたすべての疑惑を網羅しなければならない」とし、大庄洞開発及び施行社の火天大有の資産管理に関する実体解明▽釜山貯蓄銀行に対する手抜き捜査疑惑▽尹大統領の父親ユン・ギジュン教授の家を火天大有の筆頭株主のキム・マンベ氏の姉が買った経緯▽火天大有の資金の流れに関する供述が急に変わる過程で提起されたでっち上げ捜査と虚偽供述の教唆疑惑▽公職選挙法違反の余地がある「大庄洞開発不正の実体はイ・ジェミョン」という大統領選挙候補当時の大統領の発言なども捜査対象に含めなければならないと要求した。
イ代表は「すべての疑惑を余すところなく解明できる良い機会」だとし、「大統領と与党がやましくなければ、特検を拒否する理由はないだろう」と圧力をかけた。
また、イ代表は同日の記者会見でも、大統領選挙資金関連疑惑を強く否定した。イ代表は大庄洞の開発特恵疑惑の主要人物の一人であるナム・ウク弁護士が、昨年JTBCとのインタビューで「10年間つついたがびくともしなかった」と述べた内容などを言及し、それから「1年が経った今、検察で2021年4月~8月の間8億ウォン(約8300万円)の大統領選挙資金を渡したと供述を翻した」と述べた。そして、「政権が変わり、検事が変わると、関係者らの言うことが変わる」とし、「いくら捜査してもほこりさえ出てこないから、ありもしない『大統領選挙違法資金』をでっち上げている」と反論した。
与党「国民の力」のチュ・ホヨン院内代表は、イ代表の提案直後、国会で緊急記者懇談会を開き、「特検はまともに捜査が行われない時に導入するもの」だとし「きちんとした捜査が始まったのに特検を主張するのは、意図的な時間引き延ばしであり、焦点ぼかしで捜査を遅らせるため」と主張した。さらに、「特検を準備するのに数カ月がかかるが、その間にあらゆる証拠隠滅と捜査妨害の可能性もあるため、特検を受け入れることはできない」と釘を刺した。
同党のチョン・ジンソク非常対策委員長もフェイスブックへの書き込みで「大庄洞の不正の実態を明らかにするには、検察捜査が最適の手段」だとし、特検に反対した。チョン委員長は民主党がイ代表と関連した捜査に反発し、国会法制司法委員会など国政監査をボイコットしたことについても「イ・ジェミョン代表が玉砕戦略と連環の計を諦めないならば、民主党はイ・ジェミョンという人とともに沈没するだろう」と警告した。「玉砕(玉のように美しく砕ける)」は大義のための死、「連環の計」は三国時代の曹操が敵軍の誘いに乗って船を全て連結し、船が全て燃えたことをいう。イ代表を狙った捜査に党力を動員することに対する批判といえる。