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「尹錫悦の大統領室」はなぜ仕事ができないのか

登録:2022-10-24 02:37 修正:2022-10-28 18:01
[ハンギョレ21]チョ・グィドンの経済遺表 
「無能」回答8.8%→12.6%に増加 
まともな組織構造を作れなかった政治スタートアップの限界
尹錫悦大統領が19日、ソウル龍山の国防コンベンションセンターで開かれた国民の力院外党協委員長招請昼食懇談会に出席している/聯合ニュース

 発足6カ月目の尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に対する共通した評価の一つは「仕事ができない」というものだ。「議題と戦略グループ:ザ・モア」のユン・テゴン政治分析室長は「戦術の力量がなさすぎる」とし、「労働改革、年金改革、教育改革、グローバルサプライチェーン再編などの大きな枠組みの『戦略』は、大きな問題になるほどの状況ではない。しかし計画を立てて実行する能力が劣っているため、政治的基盤を破壊している」と述べた。同氏は「文在寅(ムン・ジェイン)政権が非正規労働者の正規労働者化などの賛否が大きく分かれる議題を採択しながらも、これを実行する能力が際立っていたこととは非常に対照的」だと付け加えた。

 世論調査機関ギャラップの週間定例調査で、「大統領を支持しない」理由として「経験・資質不足と無能さ」をあげた回答者の割合は、7月8.8%、8月10.4%、9~10月12.6%(毎週の結果の平均値)と増加傾向にある。「全般的に失敗している」の割合も同じ期間に3.5%→5.2%→8.0%と増えている。

「核心」機能のない「尹核関」

 通常、企業や公共機関がまともな成果を出せない時は、組織と人事管理に問題がある。グローバル大企業で30年以上にわたり人事管理業務を担ってきたA氏は「ある企業が出す結果(製品や売上など)が悪いとすれば、組織に問題がある」と指摘する。賢く有能な個人がいるかどうかの問題ではなく、組織の仕事のあり方を見なければならないということだ。

 これを見るために、現在の大統領室(国家安保室と警護処は除外)の秘書官以上の高位職の人的構成を分析してみた。前職3人を含め、尹錫悦大統領室の秘書官以上の高位職は計50人だ。このうち検察出身者は12%(6人)。また、政治家は26%(13人)にのぼる。この13人には属さないものの、「ニューライト全国連合」での活動以外には政界活動歴のない2人と、トレーダー出身の演説秘書官1人も、広い意味での政治家といえる。教授・研究員出身者は2人にとどまる。

 アン・サンフン社会首席(元ソウル大学社会福祉学科教授)は、チェ・サンモク経済首席(元企画財政部第1次官)と政策領域を二分し、各省庁の元課長である秘書官たちを統率する。現職公務員の割合は32%(16人)だ。このうち出身地域が確認された13人を地域別に分類してみたところ、慶尚道出身者が8人を占めた。「能力だけを見て決めた」と評価するのは難しい。

 このような実態は、大統領選挙での陣営の「創業」メンバーたちが大統領室でも依然として実権を握っていることを示している。政務、政策などで必要不可欠な機能は外部の専門家を使って解決する。政務分野の参謀のうち、「尹核関(尹錫悦の核心関係者)」と呼ばれるほど大統領に近いのはハン・オソプ国政状況室長ぐらいだ。経済政策は、企画財政部に事実上外注しているも同然だ。社会・安保分野は親交のある人たちが総括を務める。

 朴槿恵(パク・クネ)政権の場合、大統領就任6カ月の時点で、大統領秘書室の高位職49人のうち政治家は9人に過ぎなかった。朴槿恵元大統領の議員時代の秘書官たちは総務秘書官や付属秘書官などの職責を担ったが、公式の人事権までは握っていなかった。成均館大学の元教授のユ・ミンボン国政企画首席ら外部専門家集団の影響力もかなりのものだった。前職高位官僚も企画財政部ではなく保健福祉部、外交部、文化部の出身者だった。現職公務員の地域配分もそれなりにちらばっていた。

 企業に例えると、尹錫悦大統領は稲妻のように急速に成長したスタートアップの創業者だと言える。尹錫悦大統領が大統領選出馬を宣言する直前の2021年4~6月当時の創業メンバー(イ・ウォンモ人事秘書官、チュ・ジヌ法律秘書官ら)も、ほとんどが「(株)尹錫悦」(大統領室)に椅子を得ている。

 だが「スケールアップ(Scale-up)」と呼ばれるスタートアップの成長過程の核心課題の一つは、規模にふさわしい人事管理システムと組織構造を整えることだ。尹錫悦政権の課題も人事と組織の革新だが、スタートアップとは異なり容易ではないというのが問題だ。企業は専門家を迎え、実権を委任するというやり方で問題を解決する。大株主の意向通りの人員整理が可能なうえ、投資家も専門家を招くことを勧めるからだ。しかし、「統治連合」内部のエリートを相手に大統領が一方的に人事権を振りかざすのは難しい。

大統領を支持しない理由「無能だから」の割合 //ハンギョレ新聞社

創業はしたものの成長は難しい

 創業メンバーの多様性が低いのも問題だ。米国南カリフォルニア大学のクリスティン・ベックマン教授がシリコンバレーの170のスタートアップを分析した結果によれば、創業者たちが別の会社の出身であれば新しい製品や事業モデルを作る「探求(Exploration)」戦略を、同じ会社の出身であれば既存の製品や事業モデルを改善したり効率化したりする「強化(Exploitation)」戦略をとる傾向が明確に見られた(2006年の論文)。過度な同質性はスタートアップが変化を図り、新たな事業機会を見出すことに対する障害物として作用しうるという意味でもある。これこそ、尹錫悦政権が現在も大統領選挙キャンペーン当時に比べてもなかなか外縁を拡張できずにおり、保守系メディアまでもが「検事的な体質を脱すべき」と助言しているにもかかわらず変化できていない理由だ。

 大統領就任後の大統領室の行政官を対象とした大規模な「人的刷新」は、イ・ウォンモ人事秘書官の妻のS氏がNATO会議参加に同行したことが明るみに出た「保安事故」が引き金となった。法曹界の話によると、イ・ウォンモ秘書官とS氏の出会いの橋渡し役を果たしたのが検察在職時代の尹大統領とチュ・ジヌ法律秘書官だという。またS氏はキム・ゴンヒ女史と以前から親交があったという。外交・安保分野のブレーン役を果たすキム・テヒョ国家安保室第1次長は尹大統領の私邸があるソウル瑞草洞(ソチョドン)のアクロビスタに住み、就任前から随時大統領に会っていたことが知られる。

「インサイダー」にとって楽な組織?

 人事刷新後に大統領室の空席を埋めた人の多くは、検察で高位職を務めた人たちの集まる法務法人出身の弁護士だ。職業公務員までもが「業務能力不足」を理由に大統領室から大規模整理解雇される渦中に、企画財政部出身の行政官は全員が地位を守った。このように「インサイダー」にとって楽な組織がまともに回っていくのだろうか。首をかしげざるを得ない。

チョ・グィドン|『全羅ディアンのくびき』著者、「朝鮮ビズ」記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/1063834.html韓国語原文入力:2022-10-23 13:43
訳D.K

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