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[社説] 遺族補償より急がれるセウォル号事故の真相究明と政府の責任

登録:2015-04-03 06:34 修正:2015-04-03 08:10

 あたら元気な子供たちの命がセウォル号と共に沈んで1年が過ぎようとするが、誰の目からも明らかな事実を隠し、歪ませようとする“見せかけ”の動きは、前にも増して勢いを増している。政府はセウォル号惨事特別調査委員会を有名無実化させる特別法施行令案を立法予告したのに続き、1日、セウォル号被害者の賠・補償金算定基準を発表した。お金の問題を前面に出し真相究明をうやむやにしようとしているのではないかと疑われるだけのことはある。

 事故1周忌に合わせ、お金の問題を持ち出した海洋水産部のやり方は浅はかだ。政府は犠牲になった安山檀園高生徒に平均8億2000万ウォン(約9000万円)が支給されると発表した。まるで国の金を払うかのように恩着せがましいが、実状は違う。そのうち3億ウォンは国民義援金、1億ウォンは学校で団体に加入した保険から出る保険金だ。そこへ足されるのは一般交通事故に準じた慰謝料1億ウォン、生きていれば法廷定年まで42年間得たであろう予想所得を工事現場労働者の賃金単価で計算した3億ウォン、遅延損害金2400万ウォンなどの賠償金が4億2000万ウォンだ。

 国民義援金を除けばほとんどが当然支給される最低額だ。そこに事故を呼び起こし救助に失敗した政府の責任に対する賠償はない。税金が投じられたわけでもない。政府は人命・貨物に対する賠償金約1400億ウォンを先に出すというが、そのほとんどを船会社とオーナー家に対する求償権請求を通して回収する見込みだ。こうした事情があるのに、あえてこの時期を選んで国家が巨額支援をしているように発表したのだから、その底意を疑わざるを得ない。

 政府の意図は透けて見える。巨額を手にすることになったのに真相究明を訴え続け、まだ要求するものがあるのかといった雰囲気を作り、遺族たちを追い込もうというのだろう。政府が提示した賠・補償基準を遺族たちが受け入れなければ、もっと金を要求しているように見せかけることもできる。あの事故以来、マスコミを使ったこうしたやり口は何度となく見せつけられてきた。そして遺族たちの傷は、これ以上深くなりようがないほど深くなった。この上さらに刃を突き付けようというのか。

 遺族たちは2日、集団剃髪を断行し「政府の特別法施行令案廃棄と船体引き揚げが公式に決定されるまで賠・補償手続きを全面中断せよ」と要求した。今は賠・補償でなく徹底した真相究明をする時だという痛切な呼びかけである。犠牲者と遺族を侮辱して真実を隠ぺいするのに利用するなという警告でもある。

 セウォル号特別委も政府の施行令案撤回を要求する決議文を採択した。特別委の説明通り、組織規模と調査対象を大幅に縮小し、主要な調査対象である海洋水産部の公務員に特別委運営を思うままにさせる政府の施行令案では、特別委の活動と真相究明は事実上不可能になる。与野党が合意して国会で作った特別委の活動を、調査対象である政府が制限させようとすること自体が国民と国会を無視したことにもなる。政府は施行令案を撤回して特別委が当初提案した施行令案を受け入れなければならない。船体引き揚げ方法と具体的な日程も出すべきだ。いったいいつまで真相究明の妨害をしようというのか。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-04-02 18:11

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/685191.html 訳Y.B

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