スティーブン・ビーガン元米国務省北朝鮮担当特別代表(元副長官)は、トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と平壌で会談する案を提案する可能性があるとして、朝米対話が再開された場合、韓国が中心的な役割を果たすべきだと強調した。
米国の北朝鮮専門メディア「NKニュース」の17日付報道によると、ビーガン元代表はこの日、コリア・リスク・グループが仁川で開催した会議でこのように述べた。ビーガン元代表は、トランプ大統領が金委員長に公に対話のシグナルを送っており、最近のキム・ヨジョン労働党副部長の談話も朝米間の接触を明確に否定しなかったとして、北朝鮮も対話の扉を閉ざしてはいないと分析した。ただし、トランプ大統領の主張に関しては、これを裏付ける手紙や非公開のコミュニケーションチャネルの証拠はないと指摘した。ビーガン元代表は、2018〜2019年の第1次トランプ政権で朝米首脳外交を主導した中心人物だ。
ビーガン元代表は、トランプ大統領が11月に中国で開催されるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議以降に、金委員長との会談を検討する可能性に言及し、「トランプ大統領が平壌でそのような会談をしようと提案したとしても、不思議ではない」と述べた。
ただし、ビーガン元代表は、実際に朝米外交が再開される可能性は高くないとみている。2018~2019年とは異なり、北朝鮮はここ数年で核・通常戦力を大幅に拡大し、ロシアや中国の支援を受けて経済・軍事的な立場を強めたと評価した。特に、北朝鮮がロシアに弾薬や弾道ミサイル、兵力を提供し、その見返りとして資金やミサイル技術などを得ている状況で、米国と対話する過程でロシアからの支援縮小を求められる可能性のある北朝鮮が、進んで交渉に乗り出す動機は大きくないと指摘した。
ビーガン元代表は、朝鮮半島の持続的な平和のために韓国が中心的な役割を果たすべきだと強調した。ビーガン元代表は「何が起ころうとも、どのような合意が結ばれようとも、何よりも自由で民主的な韓国国民の安全保障・福祉に関わる問題だ」と述べた。ロシアは北朝鮮の非核化という目標を完全に放棄し、中国はこれについて沈黙を守っており、日本が行使できる影響力も限られていることから、韓国が今後の外交プロセスの中心に立つべきだと主張した。
対北朝鮮外交の在り方については、「見せかけだけの首脳会談」だけでは特段の価値はなく、インセンティブと相互の譲歩に基づいた「静かで持続的な外交」が必要だと述べた。交渉の議題としては、非核化と制裁緩和、米国の拡大抑止の公約、域内同盟の将来などを挙げた。非核化を長期的な目標として維持しつつ、短期的には北朝鮮の核能力拡大を遅らせたり凍結したりすることが、現実的な合意になり得るとも語った。さらに、こうした外交がより広範な核拡散につながらないよう、米国の強力な同盟防衛のコミットメントが必要だと強調した。
米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)が同日、トランプ大統領と中国の習近平国家主席による今月24日のワシントン首脳会談を控えて開催した記者会見でも、朝米首脳間の接触の可能性が取り上げられた。
CSISのチャイナ・パワー・プロジェクト局長兼上級研究員のボニー・リン氏は、最近北京で開催された香山フォーラムに、2019年以来初めて、キム・ガンイル国防省副首相(次官)率いる北朝鮮のハイレベルの代表団が出席した点に注目した。リン局長は、中国メディアに報じられた発言の中でキム副相が朝中首脳の指示に基づき、中国人民解放軍(PLA)との戦略的なコミュニケーションと協力を強化する意向を明らかにしたとし、北朝鮮と中国の軍事関係が一段と緊密化していると分析した。
リン局長は、こうした動きを11月のAPEC首脳会議と関連づけて注目した。同氏は、この会議を機に中国が金委員長を中国に招待し、トランプ大統領との会談を仲介すると予想されているとし、「中国は北朝鮮と米国間の対話を促進する上で、より大きな役割を果たすことにかなりの関心を持っているようだ」と述べた。また、APECの前後でトランプ大統領と金委員長が別途会談する可能性もあるとも語った。
リン局長はまた、中国がトランプ大統領に対し、朝米首脳会談の可能性を含む様々な誘因を提示することで、少なくともAPEC首脳会議までは、米国による台湾への武器販売を抑制しようとする可能性があるとして、懸念を示した。トランプ大統領がAPECに出席し、習主席がその後米国で開催される主要な首脳会議に出席するなど、米中首脳間の連続した会談が続く場合、台湾に対する米国の新たな武器販売の発表が今年末か来年に先送りされる可能性もあるとの見通しを示した。