米国による「関税戦争」が本格的に可視圏に入り、韓国ウォンの価値がとりわけ脆弱性を見せている。貿易障壁による輸出の打撃が相対的に大きく、経済の基礎体力に対する懸念が大きくなっているs。
2日のソウル外国為替市場の統計によると、直前取引日の先月28日のドル当たりのウォン相場(1460.0ウォン、夜間取引終値基準)は1カ月前の1月末(1453.5ウォン)に比べて0.45%のウォン安だった。一方、同じ期間に主要国通貨の対ドル通貨価値は大部分が上がった。具体的には、先月ドル指数(ドルインデックス)を構成する欧州連合(EU)ユーロ(+0.01%)、日本円(+3.03%)、英ポンド(+1.46%)、カナダドル(+0.50%)、スウェーデンクローナ(+3.03%)、スイスフラン(+0.88%)は、ドルに対して通貨価値がそろって上昇した。
中国人民元(+0.39%)、台湾ドル(+0.15%)、ロシアルーブル(+10.66%)、メキシコペソ(+0.86%)なども対ドルで切り上げられた。豪ドル(-0.13%)はドルに対して弱含みだったが、ウォンよりは切り下げ幅が小さかった。ウォンより切り下げ幅が大きい通貨はブラジルレアル(-0.98%)、インドルピー(-1.03%)、インドネシアルピア(-1.70%)、トルコリラ(-1.74%)程度だった。
ウォン-ドル為替レートは先月ずっとドナルド・トランプ米国大統領の「関税発言」に動揺した。トランプ大統領がカナダ、メキシコ、中国に関税を賦課する大統領令に署名した直後の先月3日、ウォンは取引中に1472.5ウォンまで下がった。以後、カナダ・メキシコに対する関税が1カ月余り猶予され、一時は1420ウォン台まで上がったが、先月28日にトランプ大統領が「関税強行および中国への追加関税」方針を明らかにするや20.4ウォン(1.4%)下がり、1460ウォン台(1463.4ウォン)に再び戻った。同日のウォンの切り下げ幅(-1.4%)は、台湾(-0.1%)、日本(-0.2%)、オーストラリア(-0.4%)などに比べてはるかに大きかった。
韓国ウォンの価値は関税障壁に脆弱にならざるを得ない。主要国に比べて輸出依存度が高いため、貿易障壁が高くなれば、ウォンのリスクも同時に大きくなる。KB国民銀行のムン・ジョンヒ首席エコノミストは「韓国は対米・対中輸出依存度が高いため、米国による関税リスクが浮き彫りになったことで韓国経済とウォンに否定的な認識が強まった状況」と説明した。ハナ銀行のソ・ジョンフン首席研究委員は「トランプ関税リスクに加え米国の金利引き下げ遅延でドル高が持き、国内経済の基礎体力まで弱化しウォン安が現れている」と診断した。
韓国証券市場からの外国人の離脱は、ウォン安と悪循環の輪を形成することになる。ウリィ銀行のミン・ギョンウォン先任研究員は「ウォン安は、需給面では海外株式投資の選好度が高まって証券会社のドル両替需要があり、韓国の株式市場から外国人投資家の資金離脱が続いた影響もある」と説明した。外国人投資家は今年に入って2月末までに韓国国内の株式5兆6千億ウォン(約5800億円)分を売り越した。先月28日の1日だけで1兆8千億ウォン(約1850億円)分を売った。
関税の不確実性が緩和されるまで、為替の変動性は持続する見通しだ。トランプ大統領が予告した対欧州関税と相互関税施行(4月2日)の時期を考慮すれば「しばらくはトランプ関税発言に外国為替市場が大きく騰落する可能性がある」(ペク・ソクヒョン新韓銀行エコノミスト)ということだ。ソ・ジョンフン首席研究委員は「4月には韓国製の自動車と半導体などに関税イシューが転移することもありうる」とし「ただし1450ウォン以上では需給負担によりさらなる上昇は制限される」との見通しを示した。