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IMF、韓国の来年の成長見通しを2.2%に引き下げ

登録:2023-10-11 00:39 修正:2023-10-11 08:25
IMF「世界経済、ソフトランディングの可能性高まる」 
米国経済を除けば「低成長が固定化」
釜山港/聯合ニュース

 「世界経済は疾走するのではなく、足を引きずりながらかろうじて前進しています」

 国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミスト、ピエール・オリヴィエ・グランシャ氏は、10日(現地時間)に発表された「世界経済見通し」でこのように述べた。世界経済は新型コロナウイルス禍とウクライナ戦争が招いた物価高・高金利危機から少しずつ抜け出しつつあるが、「低成長の沼」は依然として深いという。中国の景気減速、高金利の長期化に加え、イスラエルとハマスの武力紛争という予期せぬ地政学的危機まで発生したことで、韓国経済にかかる霧も深まりつつある。

 IMFは10日、「世界経済のハードランディング(急激な景気後退)の可能性は低下した」と診断した。米国のシリコンバレー銀行(SVB)の破綻などの銀行発の危機がふくらんだ4月の報告書ではハードランディングを警告していたことに比べると、多少は楽観的になっている。IMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事も5日のコートジボワールでの演説で、「世界経済のソフトランディングの可能性は高まった」と述べている。

 しかし内実は厳しい。IMFは世界の経済成長率が昨年の3.5%から今年は3.0%に、来年は2.9%に下がると判断した。来年の見通しは7月時点の見通しから0.1ポイント引き下げている。これは2000年から2019年にかけての20年間の平均成長率(3.8%)にはるかに及ばない。

 特に注目すべきは、国ごとの格差がはっきりしていることだ。IMFは米国の今年の成長率を2.1%、来年は1.5%と予想している。3カ月前の見通しに比べてそれぞれ0.3ポイント、0.5ポイントも引き上げている。これは「唯一の好況」を享受する米国が当面は世界経済の成長を引っ張っていくことを意味する。日本の今年の成長率見通しも以前より0.6ポイント高い2.0%に修正された。

 一方、中国の成長率は今年が5.0%、来年が4.2%と予想された。従来の見通しからそれぞれ0.2ポイント、0.3ポイント引き下げられている。不動産危機などで来年の成長幅は中国政府の目標値である5%前後にも満たず、世界経済のリスク要因として作用するというのだ。ドイツは今年はマイナス成長(-0.5%)で、来年の成長率も0.9%にとどまる見通し。IMFは、韓国の今年の成長率見通しについては1.4%と以前の値を維持したものの、来年の成長率見通しを2.2%へと、以前の値から0.2ポイント引き下げた。中国の成長の停滞を反映したものだ。

青線はIMFによる各年の5年後の世界の成長率見通しの推移=IMF「世界経済見通し」より//ハンギョレ新聞社

 懸念されるのは、米国などの一部の国を除けば、世界的に低成長の谷が深まる可能性が高いということだ。IMFは異例にも今回の見通しに、2008年から最近までの世界経済の中期(5年後)の成長率見通しの変化についての分析を掲載している。見通しは2008年の4.9%から今年は3.0%へと、15年間で1.9ポイントの急激な下落を示している。これは、2008年の世界金融危機後に各国を襲った低成長基調が、生産性の悪化、人口の高齢化などによって、年を追うごとに強まっているということを意味する。

 金融危機後、景気浮揚のために長期にわたって続いてきた低金利時代が終わりを告げ、米国などの一部の国だけが急速な回復を示している世界経済の分節化現象は、最近見られる新たな特徴だ。IMFで勤務経験のある企画財政部の官僚は「輸出で経済を支える韓国の立場からすると、貿易パートナー諸国の経済が均等に好調であってこそ成長しうる」とし、「特定の国を除く全般的な世界経済の低成長の固定化は、韓国経済にも悪材料として作用するだろう」と語った。

パク・チョンオ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1111557.html韓国語原文入力:2023-10-10 17:26
訳D.K

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