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韓国、二次電池素材の輸出額は中国からのレアメタル購入費で消える

登録:2023-09-06 06:03 修正:2023-09-06 07:29
尹錫悦大統領が4月20日、ソウル青瓦台迎賓館で「二次電池の産業競争力強化に向けた国家戦略会議」を主宰している/聯合ニュース

 米国のインフレ抑制法(IRA)施行以降、韓国では二次電池(バッテリー)用正極材の輸出が大きく増えたが、同時に正極材の重要な原料化合物と前駆体の中国からの輸入も急増したことが分かった。中国に大きく依存している二次電池製造用の原料化合物を自主生産する能力を急いで確保しなければならないと指摘されている。

 5日、韓国貿易協会が出した報告書「米国のIRA施行指針が我が国のバッテリー・サプライチェーンに及ぼす影響」によると、今年上半期の韓国の二次電池用正極材の輸出額は74億9千万ドルで、昨年同期より66%増加した。韓国の正極材輸出は2019~2022年、年平均77.7%の急激な増加傾向を示した。

 韓国国内で加工された正極材は、昨年発効した米国のIRAによる電気自動車税額控除要件(米国または米国の自由貿易協定(FTA)締結国で製造)に該当する。電気自動車バッテリーを製造する国内主要企業が欧州や米国などに工場を増設し、正極材の輸出に弾みがついている。

 しかし、同期間、正極材の主な構成物である前駆体と原料化合物の輸入も大幅に増えた。正極材はニッケルやコバルト、マンガンなど多様な金属原料化合物(前駆体)にリチウム酸化物を入れて作られる。前駆体と原料化合物は正極材原価の70%ほどを占めるが、ほとんどの場合、中国からの輸入に頼っている。

 今年上半期のリチウムと前駆体の貿易赤字はそれぞれ50億9千万ドル、21億7千万ドルだった。このうち対中国貿易赤字はそれぞれ30億ドル、21億1千万ドルに達する。リチウムの貿易赤字の59%、前駆体の貿易赤字の97%が中国から出た。今年上半期の正極材黒字(58億1千万ドル)の約88%が中国からリチウムと前駆体を輸入するのに使われたわけだ。

 韓国貿易協会のコ・ソンウン研究委員は「中国依存度の高い前駆体の生産内在化とリチウムなどレアメタルの調達先の多角化は原価節減のためにも重要だ」とし、「米国内生産が避けられないバッテリー部品に関しては迅速な対米投資の決定と執行を行う必要がある」と分析した。

キム・フェスン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1107240.html韓国語原文入力:2023-09-05 18:57
訳H.J

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