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半導体用レアメタルのガリウム…中国が輸出規制のカードを切った理由は

登録:2023-08-03 06:43 修正:2023-08-03 07:55
産業研究院「次世代先端産業サプライチェーンの内在化戦略」 
ガリウムを使った次世代パワー半導体…「ゲームチェンジャー」として育成
ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 中国がレアメタル(希少金属)であるガリウムの輸出を規制した背景には、次世代半導体市場を先取りしようとする戦略があるという分析が出た。

 韓国の産業研究院は2日、報告書「中国の輸出規制を通じて考える先端産業のサプライチェーン戦略と韓国の対応」で、「中国の輸出規制は米国の技術規制に対する報復措置を越え、長期的観点で次世代先端産業のサプライチェーンを内在化し、市場を先取りしようとする中国の戦略と関連している」と分析した。

 中国商務省と海関総署(関税庁)は、今月1日からレアメタルである「ガリウム、ゲルマニウムとその関連商品」を中国政府の許可なしに輸出できないようにした。中国は全世界のガリウムの90%、ゲルマニウムの60%ほどを生産する。

 同報告書は、中国のガリウム輸出規制が窒化ガリウム(GaN)を使った「次世代パワー半導体」を育成する戦略と密接に関連していると指摘した。次世代パワー半導体は、従来の半導体のようにシリコンではなく、レアメタルから抽出した化合物を基盤にしてウェハーを製作する。シリコンウェハーのように先端技術と生産装置が必要ないため、「第3世代半導体」と呼ばれる。中国政府は次世代パワー半導体を米中技術競争に対応できる「ゲームチェンジャー」として集中的に育成してきた。現在、窒化ガリウムを使ったパワー半導体に関わる中国の特許件数は、日本(33%)に次いで2番目(28%)に多い。

 報告書は「次世代パワー半導体は米国・日本など半導体先進国と中国の技術の差が相対的に小さく、第5世代(5G)移動通信と電気自動車に使われ、中国内需市場に多くの需要が存在する」とし、「中国は主要な原材料と生産能力、巨大な内需市場などをテコにして次世代パワー半導体のサプライチェーンを内在化し、戦略資産化を進めるだろう」と見通した。

 韓国国内でガリウムは韓国の主力製品であるメモリー半導体の工程には使われず、国内の半導体企業も次世代パワー半導体の開発に向けた研究用として主に消費してきた。液晶表示装置(LCD)のディスプレイ生産にも使われてきたが、国内企業がLCD事業を次第に減らしたことで、需要が大幅に減った。

 産業研究院のチョ・ウンギョ副研究委員は「韓国は半導体やバッテリーなど先端産業で中国と競合関係にあるが、主要な原材料の中国依存度が非常に高い」とし、「中国の鉱物(輸出)規制に対する長期的戦略が必要だ」と指摘した。

キム・フェスン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1102705.html韓国語原文入力:2023-08-02 15:36
訳H.J

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