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中国、対米対抗「3種セット」施行…「板挟み」の韓国に飛び火するか

登録:2023-08-11 06:37 修正:2023-08-11 08:36
米国の対中経済規制に中国も先月から反撃に乗り出し 
中国内の外国企業に緊張走る…さらなる対抗措置取る可能性も
ハンギョレグラフィック=チャン・ウニョン//ハンギョレ新聞社

 米国の対中経済規制に対抗し、中国の反撃も強まっている。先月と今月から本格的に施行する「対米対抗3種セット」が代表的な措置だ。米中対立のなかで韓国企業の被害を減らすため、多国間協議体の活用や非排他的な外交通商戦略などを求める声もあがっている。

 対外経済政策研究院は10日に発刊した報告書「現在の中国の経済安保対応措置と示唆点」で、「米中対立が深まり、今年初めに中国が経済安保と対中国制裁に対応するための法制化の推進および輸出統制措置を発表しただけに、韓国も追加措置に備えリスクを管理しなければならない」と指摘した。

 米国と中国は、今年初めに米国で中国の偵察気球が撃墜された事件や、米国に密搬入された麻薬性鎮痛剤「フェンタニル」の中国生産疑惑など、事あるごとにぶつかり軋轢(あつれき)を起こした。米国商務省は3~4月、中国最大の半導体メーカー「長江存儲科技(YMTC)」をはじめとする中国企業40社を「輸出規制リスト」に追加したのに続き、今年5月には米財務省がフェンタニル生産疑惑で中国企業と個人の制裁に乗り出した。

 同報告書によると、中国がこれに対抗して持ち出した対米経済対応カードは大きく分けて3つ。中国は今年4月、10年ぶりに反スパイ法を改正し、スパイ行為の対象を従来の国家機密情報から「国家の安全と利益に関わると判断されるすべての情報」に拡大し、当局の調査権限と処罰を強化した。中国公安は当時、上海にある米コンサルティング会社「ベイン・アンド・カンパニー」を家宅捜索し、従業員のコンピューターと携帯電話を押収した。今年6月には初めて対外関係法を制定し、外国の干渉・制裁・弾圧などに対応するための法的根拠を設けた。両法はいずれも先月から施行中だ。

 特に対外関係法には「在中外国人と外国の団体が中国の国家安全保障を脅かし、社会公共利益を損ねることがあってはならない」という文言が含まれている。恣意的な解釈の余地があるわけだ。中国内の外国企業に緊張が走っているのもそのためだ。

 また、中国商務省と海関総署(税関)は今月1日からガリウムとゲルマニウム関連品目38品目の輸出規制措置を開始した。半導体やディスプレー、太陽光装備産業などに使われる品目だ。米国などの対中国半導体装備の輸出規制に、中国が掌握しているレアメタルなど原材料の輸出を規制する対抗策を打ち出したわけだ。中国は全世界のガリウム供給量の94%、ゲルマニウム供給量の83%を占めている。

 問題は米国がさらなる対中国投資規制に着手したことで、中国もさらに「厳しい対応」に乗り出す可能性がある点だ。実際、中国商務省は今年「輸出禁止・制限技術リスト」を発表したが、まだ最終施行の可否を発表していない。原材料輸出規制の長期化などに加え、新たな反撃カードを持ち出す可能性も残っている。

 中国が先立って発表した輸出禁止・制限技術リストには自動運転に使用するライダーシステムはもちろん、レアアース、太陽光装備、次世代原子力・バイオ・ビッグデータ技術などが多く含まれている。対外経済政策研究院のチェ・ウォンソク経済安保戦略室副研究委員は「中国が米国の対中牽制措置に対応して経済的対応措置をさらに進める可能性がある」とし、「韓国政府が政策と関連し中国政府と意思疎通できる窓口を構築し、多国間協議体を通じた米中対立の解消に参加するほか、非排他性を堅持した対外戦略などを追求する必要がある」と助言した。

パク・チョンオ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1103860.html韓国語原文入力:2023-08-11 02:53
訳H.J

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