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韓国の対外経済政策研究院長「世界経済、“馬の鞍の上”のような危うい状況」

登録:2023-05-17 03:04 修正:2023-05-17 09:58
対外経済政策研究院「2023世界経済展望」 
「中国の半導体需要が回復しても半導体輸出をけん引するには時間かかる」
対外経済政策研究院(KIEP)のキム・フンジョン院長が16日午前、世宗市の政府世宗庁舎で2023年の世界経済の展望を説明している/聯合ニュース

 「5月現在で世界経済成長(の経路に関する)キーワードは『ゆっくりと回復へと向かう狭い通路』だと言える。経済回復はゆっくりだが、それさえも非常に狭い道だ。まるで険しい『馬の鞍の上の経路(saddle path)』を歩いているような状況だ」

 対外経済政策研究院は16日、世宗(セジョン)政府庁舎企画財政部会議室で「2023世界経済展望(アップデート)」を発表した。ブリーフィングで同院のキム・フンジョン院長は上のように述べた。キム院長は「今、世界経済回復の様相はこの鞍点経路上のある地点(サドルポイント)に来ている」とし、「この経路はリスクが非常に大きく非常に狭い。途中でミスをすると横に落ちる恐れがある」と説明した。世界経済が直面している局面は、馬の鞍に乗っているような状態だということだ。同氏は「2024年には世界経済が緩やかに成長を回復すると見通しているが、ここにも数多くのリスクが隣に潜んでいる」と語った。

 同氏は、世界経済で危ういサドルパスから踏み外れる当面のリスク要因として、金融不安と信用収縮による長期低迷▽課題ごとの離合集散とグローバルな政策協力の弱化▽サプライチェーンの多角化と内需転換の過程における中国リスクを提示した。また同氏は、世界経済はこれまでの10年とは全く違う道筋を歩んでいると述べた。「米中対立が深刻化し、多くの国が選択の岐路に立っている。(相互交易を通じた経済的利益よりも) 経済安保の方が前に出ている時代であり、これが構造的かつ持続的な変化だとすれば、物価安定(低インフレ)時代は容易には戻って来ないだろう」。 同氏は「世界経済の鈍化が大いに憂慮されるが、それ(景気循環問題)を越える(世界経済が直面する)長期的な諸問題はまだ表面化していない」と話した。

 キム院長は、中国経済のリオープニング効果については「過度な期待は抑える必要がある」と述べた。同氏は「過去には、中国経済が活性化すれば韓国の輸出が直ちに増えるという、非常に高い相関関係を示していた」とし、「今も中国経済のリオープニングで韓国が恩恵を受けると期待しているが、過去のような期待をするには(相関関係が)弱まっている」と説明した。また、中国のリオープニングが韓国の半導体輸出を強力に押し上げるには時間がかかるだろうとの見込みを示した。同氏は「中国に対する韓国の半導体輸出を語るには、今は(国内の半導体業界にたまっている)在庫が多すぎる」とし、「中国で半導体需要が回復したとしても、韓国の対中半導体輸出へと強力にけん引されるまでには数カ月とか、少し時間がかかるだろう」と語った。

 中国が今年の中国の経済成長見通しを5.5%としたことについて、同氏は「3月末に中国の発展フォーラムに行ってきたのだが、中国が今年5%台の成長という楽観的な展望をする最も重要な政策手段は、追加的な制度的改革・開放というより、資金を供給するというやり方の景気浮揚だという印象を受けた。世界経済が現在非常に不確実で注意を要するため、中国は資本市場の追加開放などにはかなり慎重なようだ。中国が来年5%の成長を達成するのは容易ではないだろう」との見通しを示した。

アン・テホ記者、チョ・ゲワン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1091972.html韓国語原文入力:2023-05-16 15:37
訳D.K

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