韓国の最大交易対象である中国経済が勢いを取り戻しているが、韓国の輸出には依然として冷たい風が吹いている。韓国政府と業界なども中国の輸出回復の行方を注視している。
23日、関税庁によると、今月に入って20日までの対中国市場の貿易赤字(輸入額-輸出額)は19億9600万ドルで、20億ドルに迫っている。1カ月前の3月1~20日(21億9700万ドルの赤字)より赤字額が小幅に減少したが、全体貿易赤字で対中赤字が占める割合は半分程に達する。対中貿易赤字は昨年10月から今月まで6カ月以上続いている。
特に、対中国輸出は前年に比べて2桁の減少を続けている。対中輸出額は今年1~3月に昨年より29.8%減ったのに続き、今月1~20日にも減少幅が26.8%に高まった。これは最近、明らかな回復傾向を示している中国経済とはかけ離れた流れだ。中国の今年第1四半期(1~3月)の実質経済成長率は4.5%(前年同期比)で、市場の予想を上回った。昨年末の防疫政策緩和以降、生産や消費など経済活動が正常化した影響だ。
中国の3月の輸出額は昨年同月に比べて14.8%増加し、予想を上回る好調を見せた。韓国から主に中間財を輸入し最終製品を作って外国に輸出する韓中交易関係を考えると、中国輸出だけが好調な「輸出デカップリング」の兆しが見えはじめたわけだ。
このように中国の景気と輸出の回復傾向が韓国経済に反映されない原因については、専門家の中でも意見が分かれている。韓国貿易協会のホン・ジサン研究委員は「中国のリオープン(経済活動再開)以来、中国の輸出が回復傾向に入ったと判断するにはまだ早い」とし、「製品発注から製作、最終引渡しまで普通2カ月程度の時差があるため、中国の輸出回復が韓国に波及するまでには時間がかかるという点も考慮しなければならない」と指摘した。中国の輸出回復傾向がより明確になれば、韓国の対中輸出も徐々に回復するだろうという見通しを示したのだ。韓国銀行も2月の報告書で「対中輸出は短期的に化工品など中国内需景気に敏感な品目を中心に回復し、その後携帯電話や半導体など情報技術(IT)品目輸出が最大2カ月の時差を置いて回復するだろう」と予想した。
企画財政部関係者は「中国が今年1~2月の春節(旧正月)連休期間に工場を稼動せず先送りしていた輸出物量が、3月に集中したと言われている」とし、「中国の輸出細部内容を詳しく見てみると、韓国の対中輸出の比重が高いIT品目は、世界的な景気悪化で依然として良くない状況」だと診断した。中国海関総署(税関)の統計によると、3月の輸出増加のをけん引役となったのは主に燃料や鉄鋼、自動車などで、通信装備や電子機器などの輸出額はむしろ前より減少したか横ばいだった。
中国の波及効果が以前ほどにはならないという懸念の声もある。中国当局が内需拡大と消費回復を経済政策の最優先課題にしており、中国の輸出回復傾向が続くという保障もないためだ。中国の招商証券は最近「3月の輸出が市場予想より好調を見せたが、グローバル景気低迷などを考えると、輸出の好調が長期間続くのは難しい」としたうえで、「1~2カ月後から輸出が次第に鈍化するだろう」と予想した。中国の半導体など中間財の自立戦略、台湾問題をめぐる韓米と中国の緊張の深化も、対中輸出に悪材料として作用しかねない。