政府は、零細事業者(小商公人・零細企業)320万カ所に、それぞれ300万ウォン(約29万円)の防疫支援金を支給することなどを加えた14兆ウォン(約1兆3000億円)規模の補正予算案を発表した。これにより、朝鮮戦争中の1951年以来、71年ぶりに1月に補正予算を実施することになった。
ホン・ナムギ副首相兼企画財政部長官は21日、政府ソウル庁舎で補正予算についての会見を開き、「防疫措置の延長により零細事業者の負担が拡大したため、自営業や小商工人への被害を厚く支援し、防疫を追加補強する必要性が高まった」と述べ、今回の補正予算編成の背景を説明した。ホン副首相はまた、「強い経済の回復などにより、予想に比べ増加した昨年の超過税収の約10兆ウォン(約9500億円)を、零細事業者への支援と防疫に迅速に還流する必要があった」とし、「零細事業者支援および防疫補強に限定した『超過税収にもとづく防疫補正予算』を推進する」と述べた。
14兆ウォンのうち最も多い9兆6000億ウォン(約9200億円)が、「第2次防疫支援金」に用いられる計画だ。小商工人・零細企業320万カ所にそれぞれ300万ウォンを支給する。昨年12月に100万ウォン(約9万5000円)を支援したことに続く2回目の防疫支援金だ。昨年12月15日以前に開業し、2019年と2020年に比べ昨年11~12月の売り上げが減少した所が対象となる。支援対象には、社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)の強化による集合禁止や営業時間制限などによる損失の補償対象業種だけでなく、旅行や宿泊業など損失補償から除外された業種も含まれる。2月に支給する計画で、ショートメールを受信後、ただちに携帯電話で申請できる。ただし、最近開業したり自治体の確認などが必要な場合は、証明書を添付して書類申請をしなければならない。
1兆9000億ウォン(約1800億円)は、零細事業者の損失補償のために使われる。本予算で2兆2000億ウォン(約2100億円)を用意したが、昨年末に小商工人市場振興基金の変更により、1兆ウォン(約950億円)を追加で設けている。それに1兆9000億ウォンを追加し、合計5兆1000億ウォン(約4900億円)に増やす。昨年第4四半期に集合禁止と営業時間制限などにより被害を受けた約90万カ所が、損失補償を受けられるようになる見込みだ。昨年第3四半期の損失補償とは違い、下限額を10万ウォン(約9500円)から50万ウォン(約4万8000円)に引き上げた。
オミクロン株の感染拡大などに先制対応するために、病床を2万5000床確保(4000億ウォン、約380億円)、治療薬の追加購買(6000億ウォン、約570億円)、在宅治療者の生活支援費と有給休暇費支援(5000億ウォン、約480億円)などのための防疫予算1兆5000億ウォン(約1400億円)も用意された。さらに、1兆9000億ウォンのうち1兆5000億ウォンを零細事業者への支援のために出費し、減少した目的予備費を増やすために1兆ウォンが追加される。
14兆ウォン(約1兆3000億円)は、国債発行で11兆3000億ウォン(約1兆1000億円)を用意し、残りの2兆7000億ウォン(約2600億円)は公共資金管理基金を通じて用意する計画だ。ホン・ナムギ副首相は「国民生活の困難に先制対応するため、1月に補正予算を編成した」とし、「至急国会で確定した後、すみやかに執行する」と述べた。
政府案のとおりに補正予算が確定した場合、今年の統合財政収支は、当初の54兆1000億ウォン(約5兆2000億円)の赤字から68兆1000億ウォン(約6兆5000億円)の赤字に増加する。国家債務は、1064兆4000億ウォン(約101兆4000億円)から1075兆7000億ウォン(約102兆5000億円)に増え、国内総生産(GDP)に対する国家債務の割合は、50.0%から50.1%と0.1ポイント上昇する。政府はこの日の閣僚会議で、このような内容の補正予算案を議決し、24日の国会に提出する計画だ。
しかし、政府案のとおりに補正予算規模が確定するかは未知数だ。ホン・ナムギ副首相は「国会で補正予算規模を増額するなどの話を聞いた」とし、「巨視的な側面から、物価と国債市場など他の分野の経済に及ぼす影響を総合的に考慮し、補正予算規模を判断したので、国会で最大限尊重されるように願う」と述べた。増額に対しては反対意見を明らかにしたわけだ。