本文に移動
全体  > 経済

新型コロナにより世界で不平等加速…上位10%の資産、下位50%の190倍

登録:2021-12-09 01:54 修正:2021-12-09 07:23
世界不平等レポート2022 
平均7千万円保有…2019年より0.4ポイント増加 
全世界の資産75.5%占める 
 
韓国の上位10%の平均資産は1億3千万円 
所得は下位50%の14倍 
フランスの7倍、英国の9倍と大差 
 
「全世界の不平等悪化は必然ではなく 
政治的選択の結果…累進税が必要」
世界不平等レポート2022=世界不平等研究所(World Inequality Lab)のホームページより//ハンギョレ新聞社

 昨年からの新型コロナウイルス感染症の流行で、世界の不平等はさらに悪化した。上位10%が全世界の資産の75.5%を占めているのに対し、下位50%の資産は2%にとどまることが分かった。新型コロナ発生前の2019年に比べ、上位10%が占めた資産の割合は0.4%近く増えたが、下位50%は横ばいだった。

 パリ経済学院のトマ・ピケティ教授らが参加する世界不平等研究所(World Inequality Lab)が8日に発表した「世界不平等レポート2022」によると、今年の世界不平等の水準はさらに悪化した。所得より資産の不平等の方がさらに悪化した。

 具体的に、上位1%は全世界資産の37.8%を、上位10%は75.5%を占めた。新型コロナの感染拡大以前の2019年に比べ、それぞれ0.7ポイントと0.4ポイント増えた。 一方、下位50%の資産占有率は2%で横ばいだった。上位10%は平均55万900ユーロ(約7千万円)の資産を持っている一方、下位50%は平均2900ユーロ(約37万円)に過ぎず、約190倍の差があった。特に、莫大な富を所有している世界的な富豪らは同期間に資産がさらに大きく増えた。2019~2021年に世界の資産が年平均1%増にとどまった場合、上位0.01%の資産は年平均5%以上増加した。上位0.1%が世界資産の11.2%を占めており、平均で8170万ユーロ(約105億円)の資産を保有していることが分かった。

 レポートは「資産の不平等は上位階層と下位階層の増加率の差に起因する」とし、「新型コロナの感染拡大が続く中、上位と下位の(資産)増加率における格差がさらに広がった」とし、「2020年は億万長者の資産占有率が最も急激に増加した年」だと指摘した。このためオックスファムをはじめとする世界市民団体は、新型コロナウイルスを「不平等ウイルス」と呼んでいる。

 韓国も例外ではなかった。レポートによると、上位1%は資産の25.4%、上位10%は58.5%を占めた。2年前の2019年に比べ、軒並み0.1ポイントずつ上昇した。下位50%は5.6%で横ばいだった。今年、上位1%は平均資産規模が457万1400ユーロ(約5億9千万円)、10%は平均105万1300ユーロ(約1億3千万円)に達した。しかし、下位50%は平均2万200ユーロ(約260万円)にすぎなかった。レポートは「過去30年間の資産の不平等が悪化し続け、格差が非常に大きく広がった」とし、「上位10%の占有率が高まり、中産層と労働者が所有する資産は減った」と明らかにした。

 所得の不平等も世界的に悪化している。今年、世界所得を上位1%が19.3%、上位10%が52.2%を占めた。一方、下位50%の所得は8.4%に過ぎなかった。2019年に比べると、上位1%と10%は所得の占有率には変化はなかったが、下位50%だけが0.1ポイント下がった。裕福な10%が8万7200ユーロ(約1120万円)を稼ぐ間、貧しい50%は2800ユーロ(約36万円)を手に入れただけだった。今年の購買力評価(PPP)を基準にした場合、成人の平均所得は1万6700ユーロ(約214万円)だった。レポートは「2020年の上位10%の平均所得は下位50%より38倍高かった」とし、「これは1910年、帝国主義全盛期と似たような水準」と指摘した。

 韓国は世界平均よりはよい状態だが、上位階層への偏り現象が目立っている。上位1%は所得の14.7%を占め、平均48万5200ユーロ(約6200万円)、上位10%は46.5%を占め、15万3200ユーロ(約1960万円)を稼いだ。上位10%の所得が下位50%の所得の14倍に達し、フランス(7倍)やイタリア(8倍)、英国(9倍)、ドイツ(10倍)より大きな格差を見せた。レポートは「韓国は1960~1990年代に急速な産業化と経済発展を成し遂げ、社会的セーフティネットが弱い状況で脱規制と自由化が行われた」とし、「その結果、1990年以降、上位10%の占有率が35%から45%に増加したが、下位50%は21%から16%未満に低下した」と指摘した。

 レポートはまた、ジェンダーと炭素排出の不平等についても取り上げた。全世界の労働所得で女性が手にしたのは1990年の31%から今年35%へと小幅の増加に止まった。韓国も全体労働所得で女性が占める割合は1990年の27.3%から2010年には30.9%に、2020には年32.4%へと徐々に増えたが、世界平均には及ばなかった。レポートは「韓国の場合、女性の労働所得の割合が日本(28%)やインド(18%)などに比べると高いが、依然として西欧(38%)、東欧(41%)には及ばない」と指摘した。炭素排出でも不均衡が大きいことが分かった。全世界で炭素を最も多く排出する上位10%が全体炭素排出量の48%を占め、下位50%が占める割合は12%に過ぎなかった。

 レポートは、韓国をはじめ世界の不平等が悪化した状況について「必然的ではなく、政治的選択の結果」だとし、累進的な租税政策の必要性を強調した。レポートは「全世界の富豪たちの莫大な富を考えると、累進率を強化すればかなりの税収を得ることができる」とし、「これを活用して教育や保健、環境などに投資できる」と指摘した。さらに「21世紀の不平等の解決は、かなりの所得再分配なしには不可能だ」とし、「20世紀の福祉国家の浮上には、増税や富の社会化などが重要な役割をしたように、21世紀にも同じような進化が必要だ」と強調した。

イ・ジョンフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1022405.html韓国語原文入力:2021-12-08 19:20
訳H.J

関連記事