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「コインか株をやらなければ希望がない」…韓国の20~30代の絶望と怒り(1)

登録:2021-12-04 03:42 修正:2021-12-06 11:54
[20代大統領選挙、MZ世代が語る] 
2.不動産と保有税
 
頑張って働けば家を買えると信じていたのに 
夢のまた夢になった現実に憤り 
 
住宅価格が高くても首都圏に集中するしかない 
大学生「家賃が高くて親に申し訳ない」 
「一体、この政権は何をしたのかと思う」
今月2日午後、ソウル南山から眺めたソウル市内のマンションの様子/聯合ニュース

 「私は30代前半で子どもが2人いるのに、まだマイホームがありません。私たち夫婦それぞれの両親も自分の家を持っていません。私たちみたいな人はマンションの請約(銀行に住宅請約口座を作って積み立てると、一定期間後に新築分譲マンションを買う資格が得られる制度。人気の物件は選考順位によって抽選で選ばれる)に当たったとしても、10%の契約金がありません。残金を払う自信がなくて、申し込みすらできません。私はこのような状況なのに、記事を見ると、600軒も家を所有している人もいれば、10歳にもならない子どもに自分名義の家を持たせているケースもあるそうです。現実を突きつけられた気がして、何もかも嫌になりました」

 江原道で伝貰(チョンセ、一定の保証金を支払って家を借りる不動産賃貸制度)で暮らしている34歳の会社員は、簡単には解消されそうにない「住居不平等」の生々しい事例を語った。ソウルで家賃55万ウォン(約5万3千円)の集合住宅で新婚生活を始めた彼女は、双子が産まれてから故郷の江原道に帰ったという。夫はKTXでソウルまで通勤している。「交通費を節約すれば家を買えるのではと思うかもしれないが、その間にソウルの住宅価格が上がりすぎて地下の一間の部屋も買えない水準だ。2年後にはここの伝貰(の保証金額)も上がるだろうし、子どもたちを連れて引っ越しすることを考えると、気が遠くなる」とため息をついた。

 本紙が先月23~25日に世論調査機関ヒューマン・アンド・データとともに20代前半から30代前半の男女28人を4グループに分けて行った「標的集団深層面接(FGI)」で確認した不動産をめぐる世論は「絶望」そのものだった。「大人たち」に言われた通り、一生懸命勉強して大学を出て就職まで成功したとしても、すでに急騰した住宅価格は彼らには到底乗り越えられない「壁」だった。深層面接に参加した28人の名前は、年齢と性別によって「2前女1」(20代前半の女性1)のような形式で表記する。

不動産めぐる不満爆発…「上昇移動への道はコインか株式投資だけ」

 ソウルで会社員として働く2後男5は「大学も卒業し、就職もした。車を買った友達も多い。ところが、家で引っかかってしまう」と語った。「大学を出て就職をすれば普通、初任給の年収は3500万ウォンから4000万ウォン(約340万~385万円)」だが、「毎年1千万ウォン(約96万円)ずつ貯蓄すると、30年働いて3億ウォン(約2870万円)」なので、「ビットコインや株で稼げない限り、絶対にマイホームは買えない」と語った。2後男1も「大学を出て就職して結婚して、子どもが産まれてマイホームもマイカーも手に入れて…というふうに老後に備えるライフサイクルを信じてきたし、一生懸命努力すれば平凡に暮らせると思っていた」とし、「もう次のステップは車を買ってマイホームを手に入れることなのに、『お前たちは夢にも思うな!』と言われているような気がする」と話した。彼は「これまで自分が間違って生きてきたのかと思うと、むなしくなる」と語った。

 住居に関する悩みは、20代前半の若者たちも同様だった。彼らは就職する前から挫折感を味わっているという。ソウルで大学に通う2前女1は「不動産問題はまだ遠い未来のことだと周りの大人たちが言うが、個人的にはそれほど遠くない未来だと思う」とし、「就職と同時に両親から経済的に独立してこそ自分の人生を生きることができる。そのスタート地点が住宅だ。ところが、新社会人の給料をためて買える金額ではないため、周りの友人たちも挫折感を感じている」と語った。大学生の2前女2も「将来世代は1億ウォン(約960万円)の借金を抱えて生まれてくるという言葉を痛感している」と話した。彼らにとって、家賃の支払いが目の前の問題だった。ソウルの大学に通う2前女7は、「周りはみな月々の家賃を払っているが、ものすごく負担になる。安心融資で伝貰の物件を借りようとしても、女性が一人で暮らすには危険な地域が多い。毎月50万ウォンから100万ウォン(約4万8千円~9万6千円)の家賃を支払わなければならない状況が平均的だというのは理不尽だ」と述べた。ソウルで一人暮らしをしている20代の男性たちも「家賃が高すぎて両親に申し訳ない」(2前男4)、「家庭教師をしても家賃の支払いであっという間に消えるため、資産を形成するだけの余裕資金がない。家賃支援も必要だ」と訴えた。

 不動産価格が急騰する現象は、単に「マイホームを手に入れるのが難しい」というレベルを超えていた。毎月給料をこつこつと貯めても、これの数十倍に垂直上昇する不動産価格の前では無力だ。若者たちがあらゆる手段を動員して無理をしてまで家を買ったり、ビットコインや株に爆発的な関心を持つ理由もここにある。転職を考えているという2後女3は、20代が借金まみれになるまで不動産や投資にはまる現象について「勤労所得が資本所得にどうしても勝てない構造になっているから、(無理をしてでも)マイホームを買わなければ答えがないと考えているようだ」と述べた。ソウルで一人暮らしをしている2前男6も「上の世代は早くマイホームを手に入れた方が良いとずっと言ってきたのに、今になって買うなと言う」とし、「周りの友人たちが株やコインに手を出すのも、上昇移動への欲求からくるものかもしれない」と話した。2前女7も「20代で貯蓄を始めては不動産を買えないのが現実なので、私の周りでは皆自暴自棄になったようだ」とし、「そのため不労所得にもっと欲を出し、コインや株にかける傾向があるようだ」と述べた。(2に続く)

ソン・チェ・ギョンファ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1021828.html韓国語原文入力:2021-12-03 11:49
訳H.J

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