原文入力:2009-07-09午後08:20:17
[新疆地区 民族葛藤 現地リポート]ここはウルムチ
遊牧民の根拠地 ウルムチ,漢族 75% 占める
市場・店もウイグル族は従業員に転落
少数族の聖地‘天山’中国象徴物 あふれる
ユ・ガンムン記者
←中国軍人が8日新疆ウイグル自治区省都のウルムチにあるイスラム式市場‘オルダオチャオ’バザール前で警戒している。ウルムチで民族間衝突の憂慮が大きくなるや中国軍兵力が増強配置されている。 ウルムチ/AFP連合
9日午前7時ウルムチ人民広場。去る5日に発生した大規模流血デモの震央地であるここは警察のものものしい包囲網に封じ込められている。少数民族に対する差別撤廃を叫んだウイグル人の声は痕跡を見つけることすら難しい。広場周辺を散歩する数人の老人たちの無関心な表情がかすめるだけだ。
広場の中央には10m余りの高さの雄壮な造形物が立っている。空に向かって高く聳え立ったこの造形物には‘中国人民解放軍進軍伸張記念’という字が刻まれている。ウイグル族をはじめとして回族,タタール族,カザフ族,モンゴル族など20余の少数民族が暮らす都市に漢族の支配を象徴する記念物が立っているわけだ。造形物の裏面には‘中国人民解放軍の新疆進軍が人民解放の新しい歴史を創造した’という字が刻まれている。
ウイグル族自治区である新疆の中心都市ウルムチはすでに‘漢族の都市’に変わった。200万人に達する漢族はウルムチ全体人口の75%を占めている。少数民族の中で最も人口が多いウイグル族の比率は24%に過ぎない。昨年3月大規模デモが発生したチベット,ラサの場合、漢族の比率が10%未満だったのとは対照的だ。ウルムチでウイグル族は他の少数民族と共に消えていく‘遺物’だ。
←9日ウルムチ人民広場の人民解放軍進駐記念塔の前に武装警察車両が停まっている。こちらは去る5日発生した大規模流血デモの震央地だ。 ウルムチ/ユ江門特派員
人民広場から南に降りて行けばウイグル人の伝統市場‘バザール’がある‘オルダオチャオ’に出てくる。ウイグル語で‘ドン クェルィク’であるこちらは本来迷路のように複雑な中央アジア式伝統市場だったが、今は中国式に再開発され現代式建物に変わった。60万人と推定されるウルムチ少数民族の45%がこの周辺に集まって暮らしているが、ここの主人はやはり彼らではない。オルダオチャオの商圏は大部分が漢族の手に渡って久しい。市場前に巨大な中央アジア式の塔と広場が装飾のように立っているが、市場内の店の主人は漢族,従業員は少数民族であるところが多い。
数千年間、代々暮らしてきた自分たちの土地で‘二等国民’に転落しているという少数民族の喪失感は‘天山’にもあらわれている。ウルムチから東に150km離れた天山は昔からこの地域に暮らしてきた遊牧民族の聖地であり、特に主峰の‘ポゴダボン’は‘神霊の山’と呼ばれた。馬に乗って行った遊牧民族は皆馬からおりてこの山に向かい礼拝したという。
だがここはいつのまにか中国神話に出てくる‘西王母’の影が覆いかぶさっている。天山頂上の神聖な湖である天地のすぐそばには巨大な西王母の霊廟が建った。旅行客を案内するガイドは天山のあちこちの谷間や岩ごとに西王母の伝説がどのように漂っているかを説明するのに忙しい。中国の西側、崑崙山に暮らしたという西王母はヒョウの尻尾に虎の歯を持った女神だ。
ウルムチはモンゴル語で‘美しい牧場’という意味だ。しかし、今やここは高層ビルと大型商店街,ホテルが並ぶ現代的な都市に変わった。中国政府の西部大開発政策と大規模資源開発によりウルムチの1人当り国民所得は6222ドル(2008年)で、3千ドル水準の中国平均よりはるかに高い。しかし、‘発展の果実’は群れ集まった漢族の手に集中しているという。少数民族の喪失感はこういう数値では説明することはできない。
ウルムチ/ユ・ガンムン特派員moon@hani.co.kr
原文:https://www.hani.co.kr/arti/international/asiapacific/364983.html 訳J.S