中国の王毅外交部長(外相)兼政治局委員が9日から10日の2日間、北朝鮮を訪問する。5月中旬のドナルド・トランプ米大統領の訪中を控え、中国が朝鮮半島をめぐる仲介外交に乗り出すシグナルとみられる。
北朝鮮官営「朝鮮中央通信」は8日、「朝鮮民主主義人民共和国外務省の招待により、中国共産党中央委員会政治局委員で中華人民共和国外交部長の王毅同志が、9日から10日にかけて我が国を訪問する」と報じた。中国外務省の毛寧報道官も同日の定例会見で、王外相の北朝鮮訪問を発表し、「中朝両国は山と水がつながっている伝統的かつ友好的な隣国だ。中朝関係をしっかり守り、強化し、発展させることは常に中国の党と政府の揺るぎない戦略的方針だ」と述べた。さらに「王外交部長の今回の訪問は、中朝両国が両党・両国最高指導者の共同認識を実行し、両国関係の発展を促進する重要な措置」だとし、「中国は朝鮮(北朝鮮)と共に戦略的な意思疎通を強化し、緊密に交流・協力し、中朝の伝統的な友好協力関係が絶えず発展するよう推進する用意がある」と語った。
王外相が北朝鮮を訪問するのは、2019年9月以降約6年7カ月ぶり。王外相は平壌(ピョンヤン)で、北朝鮮のチェ・ソンヒ外相と会談し、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とも面会する可能性が高い。
王外相の今回の訪朝は、5月14日から15日に予定されているドナルド・トランプ米大統領の中国訪問を前に、中国政府が朝鮮半島問題に関する「仲介案」を用意しようとする動きとみられており、重要な意味を持つ。
トランプ大統領の中国訪問を機に、金正恩委員長とトランプ大統領が会談を行うかどうかが関心事となっており、この時期に王外相が訪朝するのは特に注目を集めている。トランプ大統領は昨年10月末の訪韓当時、金委員長に「会おう」というシグナルを繰り返し送ったが、金委員長は反応を示さなかった。
米中首脳会談で朝鮮半島問題が議題に上がる可能性もある中で、王外相の訪問を通じて朝中間の事前調整が行われることも考えられる。特に、金委員長がトランプ大統領と会談する意向があるかどうかを確認し、具体的な案件を調整する可能性がある。成均館大学成均中国研究所のイ・ヒオク名誉院長は「米中首脳会談を前に、中国が朝鮮半島の課題を管理しようとする側面がある」とし、「金正恩委員長がトランプ大統領と今回会う意思があるかを確認し、必要な具体的事項も議論するだろう」と予想した。韓国外交部はこの日、「(王外相の訪朝を通じた)朝中交流が朝鮮半島の緊張緩和と平和実現に貢献する方向に進むことを期待する」と述べた。
王外相が訪朝後、韓国を訪問する可能性も排除できない。
李在明(イ・ジェミョン)大統領と習近平中国国家主席は、昨年11月と今年1月のシャトル首脳外交を通じて、朝鮮半島問題の解決策に関する首脳レベルの議論を深めてきた。韓中はこのところ王外相の訪韓を調整してきたが、正確な日程はまだ確定していないという。イ・ヒオク院長は「王外相の訪問は3月に中国で開催された全国人民代表大会の閉会直後に計画されたが、イラン戦争の影響で少し延期された」とし、「王外相が訪朝後、韓中関係を調整するため、韓国を訪問する可能性がある」と語った。
米側では、トランプ大統領が5月の中国訪問を機に金正恩委員長と会談する可能性が高いとみられている。
米国戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ韓国碩座はこの日、峨山政策研究所主催のフォーラム「アサン・プラナム」で記者団に向けて、「トランプ大統領が5月に中国を訪れ、習近平国家主席と会談した後、金正恩委員長と会う可能性は50%以上」だとし、「現在ワシントンで北朝鮮政策に関わっているのはトランプ大統領一人だけで、彼は北朝鮮を特別視しており、金委員長との対話を実現しようとする明確な意思がある」と述べた。