イ・サンミン前行政安全部長官の一審判決の構成は、「12・3非常戒厳は内乱」だとの初の司法判断が下された先月21日のハン・ドクス前首相の一審判決の内容にそっくりだ。非常戒厳は内乱なのかをまず判断したうえで、内乱加担行為の罪責を問うたかたちだ。裁判所は、非常戒厳時の報道機関に対する電力と水の供給遮断は報道機関の口封じを試みたもので、国権びん乱を目的とする暴動を容易にする犯罪行為であることから、重刑は不可避だと判断した。
ソウル中央地裁刑事32部(リュ・ギョンジン裁判長)は12日、報道機関への電力と水の供給遮断を指示したなどのイ前長官の主な容疑を判断する前に、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領による戒厳宣布が内乱罪に当たる理由を具体的に説明した。「尹錫悦前大統領やキム・ヨンヒョン前防衛部長らが指揮系統に沿って軍の兵力と警察力を動員して統制したことは、国憲を乱すことを目的として多数が結集し、有形の力を行使して犯した地方の平穏を害する威力ある内乱行為だと判断する」と述べた。
同地裁は、非常戒厳が「国家の存立を危うくした内乱」であることを大前提としたうえで、イ前長官は内乱の首謀者である尹前大統領から報道機関への電力と水の供給を断つよう指示され、具体的に実行に移したため、内乱に加担したと結論づけた。尹前大統領による報道機関への電力と水の供給遮断指示が記載された文書の実物はまだ発見されていないが、同地裁はその文書が存在し、それをイ前長官は受け取ったとみられると判断した。同地裁はこのことについて、「尹錫悦の指示で、各所管省庁が担当する業務の指示事項が記載された文書を作成したキム・ヨンヒョン前国防部長官の陳述などによると、被告は尹錫悦から主要機関の封鎖計画および電力と水の遮断を指示する文書を受け取っていたうえ、特定の報道機関に対する電力と水の供給遮断の実行を指示されたと判断される」と述べた。
同地裁は、ホ・ソッコン前消防庁長がイ前長官の裁判に証人として出廷し、「(非常戒厳当日)イ前長官がハンギョレなどを早口でおっしゃられたので、何度も聞き返したと思う」と証言したことなども証拠としてあげ、「被告が自ら外局である消防庁の長に特定メディアに対する警察投入に関する具体的な業務指示をしたと考えるのが妥当だ」と述べた。
同地裁は、イ前長官の内乱加担行為は故意だったとみなした。違憲かつ違法な非常戒厳であることを知りつつ、報道機関への電力と水の供給遮断は批判世論を抑えるためのメディア弾圧行為であるという認識を十分に持ちながら、実際に実行に移したということだ。同地裁は「被告は法曹人かつ高位公職者として、非常戒厳の意味と要件を十分に知り得た」として、「電力と水の遮断指示は国憲を乱すという目的を達成する手段の一部で、内乱重要任務従事に当たる」と述べた。
同地裁は、報道機関への電力と水の供給遮断が実現していなくても内乱罪による処罰は可能だと述べた。同地裁は「尹錫悦ら内乱集団の構成員として、内乱行為全体に含まれる個々の行為に部分的に関与し、内乱行為に加担したことが認められる以上、一連の暴動行為によって既遂に至った内乱罪の責任は免れない」と述べた。
同地裁は、「被告をはじめとする尹錫悦らの内乱行為は、民主主義の核心となる価値を根本的に傷つけるもの」だとして、「被告が尹錫悦らの内乱行為を積極的に慰留したと考えられるだけの資料もなく、内乱行為の真実を隠蔽し責任を免れようとして憲法裁判所で偽証したことから、非難の可能性はさらに高い」と指摘した。
ただし、「被告が尹錫悦、キム・ヨンヒョンらによる内乱行為について非常戒厳宣布日以前にこれを謀議または予備した状況は発見されず、被告が繰り返し電気・水遮断を指示したり、指示事項の履行状況を点検し報告を受けたりするなど、より積極的に内乱の重要な任務を遂行したと認められる資料もなく、結果的に特定報道機関に対する電気・水遮断の措置は実際にはなされなかった」という点は減刑要素と判断した。特検チームは懲役15年を求刑したが、半分に満たない7年を宣告したのもそのような理由からだ。これに対し、市民団体「参与連帯」は声明を発表し、「12・3内乱の厳重な罪と、報道機関への電気・水遮断の指示が報道の自由を本質的に侵害するという点を考慮すれば、7年の量刑は軽すぎる」と批判した。