韓国最高裁が司法改革に関して世論を聴収するために開いた討論会で、チ・グィヨン裁判長による尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の拘束取り消しと内乱裁判の遅延、李在明(イ・ジェミョン)大統領関連の裁判に対する最高裁全員合議体の異例な迅速上告審が、司法府に対する不信を招いたという苦言が出た。共に民主党が年内可決を公言した「内乱専担裁判部」の設置については、裁判所が迅速な裁判のための代案を示すべきという提言もあった。
11日、ソウル瑞草洞(ソチョドン)のソウル裁判所総合庁舎で開かれた総合討論会「大韓民国司法府が進む道」の座長を務めたキム・ソンス司法研修院碩座教授(元最高裁判事)は、「現在、韓国の裁判所は沈没する直前の難破船のような状況だ」とし、「この船は、3月7日の(尹前大統領の)拘束取り消し決定と、5月1日の(李大統領選挙法違反事件の)最高裁全員合議体判決で巨大な暗礁に乗り上げ、座礁した状態だ」と述べた。さらに「一部の裁判官の理解できない進行が、国民の観点からすると、内乱克服を妨害しているようにも見える」とも述べた。
討論者として参加したムン・ヒョンベ前憲法裁判所長権限代行も「非常戒厳が宣布されて1年が過ぎたのに、内乱事件でまだ1件も宣告されていないのは問題がある。さらには、拘束期間を日数で計算してきた確固たる慣行があるにもかかわらず時間で計算し、その変更を内乱首謀者の事件に適用したことで、国民の不信を自ら招いた」と述べた。ムン前代行は「『ヒューマンエラー』と『システムエラー』が交ざった状態では、制度改善の議論ができない。切り離した方が良い」とも述べた。「チ・グィヨン裁判部」の拘束取り消し決定を「ヒューマンエラー」と批判したのだ。その一方でムン前代行は「いくつかの事件処理に対しての国民の怒りを理解する。(だが)怒りは司法改革の『動力』にはなりえても、『内容』にはなりえない」とし、現在与党主導で推進されている司法改革案は解決策にならない点を遠まわしに指摘した。
非常識な内乱裁判によって違憲の素地がある「内乱専担裁判部」の議論が持ち上がったとして、討論者は国民的不信感を解消できる裁判所の先制的な措置を求めた。梨花女子大学法科大学院のパク・ウンジョン名誉教授(元国民権益委員長)は、「自分が裁判の当事者になった時、事件の割り当てに外部者が関与するとしたら、承服できるだろうか」とし、「司法府は今からでも実質的な内乱専担裁判部の役割を果たすものを作れると思う」と述べた。ムン前代行は「裁判所が迅速にこの事件を処理すること、そして(内乱専担裁判部設置の)特別法制定の契機をなくすこと、これが王道だ」として、裁判所が積極的に代案を用意すべきだと注文した。
民主党が立法を来年に持ち越した「法歪曲罪」に対する懸念の声もあがった。チャ・ビョンジク弁護士(法律新聞編集人)は「内乱専担裁判部の設置は法案の修正・補完問題ではなく、設置自体が問題だと思うが、さらに深刻なのは法歪曲罪だ」とし、「刑法があるのに国家保安法がなぜいまだに存置されているのか現在も理解できないが、法歪曲罪が新設されれば、刑法以外に国家保安法のようにおかしな構成要件が一つ加わる『政治刑法』が誕生するのではないか」と語った。
最高裁判事の増員をめぐっては、出席者の意見が分かれた。ムン前代行は「8人増員および上告審査制の導入」、キム元最高裁判事は「12人増員および連合部2つの構成」、チョ・ジェヨン元最高裁判事は「4人増員および上告審査制の導入」を提案した。民主党が最も近日に出した「3年内に12人増員案」に対し、キム元最高裁判事は賛成するという立場だったが、他の出席者たちは最高裁判事26人が参加する全員合議体は討論と合意が難しく、最高裁に中堅級判事らが研究官として多く選ばれると、下級審が弱くなりかねないと懸念を示した。