韓国の全国の裁判所長らが、与党が推進している内乱事件を専門に担当する「内乱専担裁判部」の設置法案と法歪曲罪の新設について「違憲性が強い」とし、懸念を表明した。
チョ・ヒデ最高裁長官をはじめとする全国の裁判所長は、5日午後2時からソウル瑞草洞(ソチョドン)の最高裁で全国裁判所長会議を行い、「非常戒厳についての裁判の重要性と、国民の多大な関心と懸念を厳重に認識」するとしつつも、「非常戒厳専担裁判部設置法案、法歪曲罪新設法案は、裁判の中立と国民の司法府に対する信頼を損ねるとともに、最終的に公正な裁判を受ける権利を本質的に侵害するため違憲性が強く、今後、法案の違憲性のために裁判の遅延など多くの混乱を招く恐れがあるという点で、深刻な懸念を表明」した。
そして「関連事件の判決が予定されている状況であるため、国民には司法府を信じて最終的な裁判の結果を見守って下さるようお願いする」とし、「各級裁判所は、裁判の迅速で集中的な処理のためのあらゆる司法行政的な支援を行うことを国民に約束する」と述べた。
全国裁判所長会議は、司法行政事務に関して最高裁長官または裁判所事務総長(行政処長)が提案した案件について意見を出し合う機関。裁判所事務総長が議長を務め、全国の裁判所長、司法研修院長、司法政策研究院長、裁判所図書館長ら、高位の裁判官が出席する。この日の全国裁判所長会議では、内乱専担裁判部法案と法歪曲罪の導入について議論が行われた。
内乱専担裁判部設置法は、12・3違法戒厳に関連する事件の令状を内乱専担裁判部の判事が担当するとともに、一審と控訴審でそれぞれ2つ以上の専担裁判部を設置して戒厳に関連する事件を専門に担当するよう定める法案。法歪曲罪は判事、検事または捜査機関の従事者が不当な目的をもって法を意図的に誤って適用したり、犯罪事実を黙認したりして当事者を有利または不利にした場合、10年以下の懲役または資格停止に処すとする内容だ。両法案は最近、共に民主党の主導で国会法制司法委員会で可決されている。しかし法曹界の内外では、違憲だとの批判やこれによる悪影響などを懸念する声があがっている。