米国のケビン・キム駐韓大使代理が最近、外交・安全保障分野の高位当局者と会い、李在明(イ・ジェミョン)大統領が「非核化」の代わりに使う「核のない朝鮮半島」という表現が北朝鮮に誤ったシグナルを与えかねないという懸念を伝えたことが、9日に分かった。
外交当局の事情に詳しいある消息筋は同日、ハンギョレに「キム大使代理が韓国政府の高官たちと会い、『北朝鮮の非核化』の代わりに『核のない朝鮮半島』という表現を使うのは、(北朝鮮の核保有を容認したという)誤ったシグナルを北朝鮮に与える恐れがある。北朝鮮の非核化を明確にすべきなのに、なぜ(核のない朝鮮半島だと)曖昧に言うのかという意見を伝えた」と述べた。キム大使代理は先日、チョ・ヒョン外交部長官とチョン・ドンヨン統一部長官、アン・ギュベク国防部長官に相次いで会った。キム大使代理は8日のパク・ユンジュ外交部第1次官との非公開会談後、記者団に対しても「米国と韓国が北朝鮮を含む様々な問題に対してうまく調整できる方法について話し合った。(韓米首脳会談で)両大統領は北朝鮮の完全な非核化に対する約束を再確認した」と強調した。
李大統領が「核のない朝鮮半島」を初めて使ったのは8月15日の光復節記念演説だったが、当時は非核化という用語と共に使用した。だが、2日の民主平和統一諮問会議発足会議では、非核化という言葉は使わず、「朝鮮半島で戦争状態を終息させ、核のない朝鮮半島を追求し、強固な平和を定着させるための取り組みも続けていく」と述べた。
米国が韓国政府の北朝鮮政策に対する懸念を伝えたのは今回が初めてではない。複数の政府筋は「最近のチョン・ドンヨン長官の『韓米合同軍事演習の調整』発言などについて米国は、対北朝鮮政策に関して韓米両国で事前調整をするのが望ましいという趣旨で懸念を伝えた」と述べた。
韓米はこうした気流を反映し、北朝鮮政策をめぐる隔たりを埋めるため「定例的政策協力会議」を開催することにした。外交部当局者は「韓米間の定例的な政策協力に向けた会議を開催する案について、数カ月前から実務レベルの議論が進められてきた」とし、「この会議では北朝鮮への関与案を含む対北朝鮮政策全般を議論する予定だ」と述べた。