李在明(イ・ジェミョン)大統領が近く発表する「北朝鮮政策3大目標」に、「北朝鮮核問題の解決」や「非核化」のような明示的言葉の代わりに、「戦争と核のない朝鮮半島」という包括的な文言が含まれることが、ハンギョレの取材の結果確認された。配置順も最後の3番目だ。「非核化」は時間がかかる長期課題であるという点や、これを前面に出した場合、北朝鮮との対話自体が困難である点などを総合的に考えたものとみられる。
韓国政府高官は30日、ハンギョレに「李大統領が2日に北朝鮮政策3大目標を発表する予定」だとし、「第1目標は『平和共存の制度化』、第2目標は『共同成長基盤の構築』、第3目標が『戦争と核のない朝鮮半島』」だと明かした。
これに先立ち、李大統領は今年8月15日の光復節(独立記念日)の記念演説で、北朝鮮体制の尊重▽吸収統一を追求しない▽一切の敵対行為を認めないという「北朝鮮政策3原則」を発表した。今回の3大目標まで発表すれば、李在明政権の「北朝鮮政策マスタープラン」がすべて公開されるわけだ。これと関連し、大統領室高官は「大統領が直接発表するものであるだけに、(具体的な内容は)最後まで予断できない」とする一方、「準備しているのは間違いない」と述べた。
今回公開される北朝鮮政策3大目標において最も目を引くのは、北朝鮮が激しく抵抗感を示す「非核化」関連内容を最後の第3目標に据えた点だ。これは李明博(イ・ミョンバク)・尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権のような保守政権はもちろん、以前の民主党政権とも明らかに異なる。直前の尹錫悦政権は、第1目標が「大胆な構想による北朝鮮核問題の解決」であり、北朝鮮への関与と協力を重視した文在寅(ムン・ジェイン)政権も「3大目標」の第1目標として「北朝鮮核問題の解決および平和定着」を掲げた。世宗研究所のキム・ジョンソプ首席研究委員は、「非核化を強調することは、原則的なレベルならともかく、現在の朝鮮半島の緊張を和らげる助けにはならない」とし、「だから、このような水準の強弱調節は非常に適切と思われる」と語った。
「非核化」や「北朝鮮の核」という表現の代わりに「戦争と核のない朝鮮半島」という包括的用語を採択したことも注目される。「非核化」が「北朝鮮の核廃棄」という行動の義務性に焦点を合わせたものである一方、「戦争と核のない朝鮮半島」は未来ビジョンであり、朝鮮半島の最終的な平和状態を指す用語に近い。さらに、「核のない朝鮮半島」は、南北いずれにも「非核化」を義務づけるもので、北朝鮮にとっても比較的抵抗感が少ない。北韓大学院大学のヤン・ムジン碩座教授は「(北朝鮮にとって)非核化は行動を課すもので負担だが、核のない朝鮮半島は指向点」だとし、「南北対話の入口で壁にぶつかるのではなく、出口に向かって進もうという現実的で包括的な表現」だと分析した。
第1目標の「平和共存の制度化」は、南北が平和に共存する状態を「法と制度」で担保するという意味で、チョン・ドンヨン統一部長官が主張してきた「平和的二つの国家論」と軌を一にする。南北が相手の体制を認め、敵対行為を中止した状態で、事実上、二つの国家のように共存しようという現実論であるわけだ。第2目標である「共同成長基盤の構築」には南北が共に豊かに暮らす共同繁栄の土台を作るという意志が込められている。過去の文在寅政権の3大目標の中で「朝鮮半島新経済共同体の具現」と類似しているが、李在明政権はこれを第2目標に引き上げた。
李大統領が北朝鮮政策の3大目標を発表すれば、先に提示した「北朝鮮政策3原則」とともに、李在明政権の任期中の北朝鮮政策の方向と路線の基準点の役割を果たすことになる。北朝鮮政策の3大目標は今後、外交、国防、情報、経済安全保障戦略を総合的にまとめた政府の最上位安保文書である「国家安全保障戦略書」に反映され、必要に応じて法律としても制定されるものとみられる。