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米国家安保戦略から除外された北朝鮮…「対話の前兆」か、それとも無関心か

登録:2025-12-08 05:49 修正:2025-12-08 06:56
米国のドナルド・トランプ大統領が6日(現地時間)、ワシントンD.C.国務省で開かれた第48回ケネディセンター名誉メダル授賞レセプションで演説している/聯合ニュース

 第2次ドナルド・トランプ政権の「国家安保戦略」(NSS)で「北朝鮮」と「非核化」が言及されなかったことをめぐり、相反する見解が示されている。「朝米対話を念頭に置いた意図的措置」という見方と、「北朝鮮に対する相対的な無関心を反映したもの」という見方が対立している。一方、韓国国家安保室は「米国の国家安保戦略の記述方式が変わったため」と分析した。

 キム・ヒョンジョン国家安保室1次長は7日、ソウル龍山大統領室で行われた李在明(イ・ジェミョン)政権発足6カ月の成果報告記者懇談会で、「米国の国家安保戦略指針書は2022年に続き発刊されたが、当時に比べ多くの変化があった」とし、「米国の国家安保戦略が変化しただけに、深層的に分析している」と述べた。

 専門家たちは「北朝鮮」に関する言及そのものが抜けていることに注目した。第1次トランプ政権が2017年に発表した国家安保戦略には、北朝鮮が17回、バイデン政権時代の2022年には北朝鮮が3回登場したことと比べると、言及自体がないのは極めて異例のことであるからだ。国家安保戦略研究院のキム・ソンベ院長は同日、ハンギョレに「かなり意図的なものとみられる。北朝鮮を取り上げることになれば、『非核化』と『北朝鮮の脅威』に触れざるを得ないため、意図的に言及しなかった」と述べた。北朝鮮問題を「空白」にしたのは、トランプ大統領と金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長の首脳会談など、朝米関係改善を念頭に置いた戦略的布石という分析だ。

 一方、北朝鮮問題に対する相対的無関心を反映したものという見解もある。峨山政策研究院のヤン・ウク研究委員は「北朝鮮の非核化が除外されたのは、米国が相対的に北朝鮮問題に関心がなく、米国の国益と大きく関係がないとみていることを表している」と語った。米国の戦略構想で西欧や中東などに比べて優先順位が下がったことを示しているという意味だ

 ところが、ウィ・ソンラク国家安保室長は、全く異なる見方を示した。ウィ室長は同日、大統領室での懇談会後、記者団に「米国の今回の国家安保戦略報告書に北朝鮮の非核化について言及がないのは、作成の基本方針が2022年とは根本的に異なるためだ」と述べた。今回は「アメリカファースト」を中心に基本方針を記述し、具体的な地域紛争や主要懸案を詳細に取り上げなかったということだ。ウィ室長は「北朝鮮問題は今後作成される下位文書で取り上げられるものとみられる」とし、「これについて、米国が北朝鮮核問題の解決に関心がないとか、朝米対話再開に関心がないとみる必要はないと思う」と語った。朝米対話が再開されるかどうかは現時点では予想困難で、肯定的可能性と否定的可能性がいずれもあるという意味だ。

 国家安保戦略が中国と台湾問題に言及したのも、米国の「経済的利益」と結びついているためという分析もある。キム・ソンベ院長は「中国を脅威とみなし、倒すべき対象と捉えるより、全般的なトーンを調整して『再調整』という言葉を使った」とし、「米国に利益になる方向で中国と関係を調整していくということであって、戦って勝つという意味ではない」と語った。

ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1233315.html韓国語原文入力: 2025-12-07 20:48
訳H.J

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