放送通信委員会のイ・ジンスク前委員長が、秋夕(旧暦8月15日の節日)連休を控えた2日に公職選挙法違反などの疑いで警察に逮捕され、政界内外で波紋が広がっている。政府組織の再編によって、1日に放送通信委員長から免職された翌日のことだ。イ前委員長を警察に告発した与党「共に民主党」は「当然の結果」だとして歓迎の立場を示した一方、最大野党「国民の力」は「野蛮な政治」だとして激しく反発した。
民主党が4月にイ前委員長を警察に告発した理由は、放送・通信の自由と独立を先頭に立って保障すべき放送通信委員会のトップが、偏った政治的スタンスを繰り返し示したことは、単純な意見表明の水準を越え、公務員の品位維持義務および政治運動禁止を定めた国家公務員法と選挙法違反に当たると判断したためだ。
イ前委員長は3月、ソーシャルメディアに「チェ代行(チェ・サンモク当時大統領権限代行)が現行犯ならば、李在明(イ・ジェミョン)代表も(職務遺棄の)現行犯」などの見出しの文を投稿した。また、昨年8月に弾劾訴追案可決で職務が停止されて以降、保守ユーチューブチャンネルに出演し、「民主党や左派集団は私たちが想像できるすべてのことをする集団」などと発言して物議を醸した。
イ前委員長はこの日、警察署に入る前に取材陣に「放送通信委員会という機関をなくすのに飽き足らず、今度はイ・ジンスクに手錠をかけるのか」と語った。さらに「李在明(大統領)の指示ですか、チョン・チョンネ(民主党代表)の指示ですか。それとも改娘(改革の娘の略語、強硬派の民主党支持者たちを意味する)に言われたのですか!」と叫んだ。
警察は、イ前委員長が先月27日午後2時に予定していた出頭要求に応じなかったため、逮捕方針を立てたという。イ前委員長は「9月27日は放送通信委員会をなくし、放送メディア通信委員会という新たな機関を作るために法を通過させようとしたし、国民の力のチェ・ヒョンドゥ、キム・ジャンギョム議員のフィリバスターが予定されていた」とし、「機関長として当然(国会に)出席しなければならなかった」と主張した。イ前委員長が「不当な逮捕状執行」という主張を続けたことを受け、警察は「8月12日から9月19日まで計6回にわたり書面で出頭要求書を発送した。にもかかわらず、被疑者は出頭に応じなかったため、裁判所から逮捕状を取って執行した」と反論した。
秋夕連休直前に電撃的に行われたイ前委員長の逮捕は、国民の力の激しい反発を呼び起こした。同党のチャン・ドンヒョク代表はこの日、国会で緊急記者懇談会を開き「国全体が狂っている」と荒々しい批判を並べた。さらに「支持率が下がり、キム・ヒョンジ(前総務)秘書官の問題が生じ、物価は上がり続ける中、秋夕の前にこのすべてを覆い隠してしたことが、結局はイ・ジンスク前放送通信委員長の逮捕だった」とし、「秋夕を控えて李在明政権が繰り広げる野蛮な政治」だと述べた。チャン代表は「イ委員長の弁護人は警察に出頭しない理由を知らせ、書面でも理由書を提出した。逮捕要件に当たらないのは明らかだ」とし、「職権乱用に対する法的責任を問う」と語った。
民主党は「妄言を日常的に行ったことによる当然の結果」だとし、「捜査当局は法と原則に従って迅速かつ徹底的に真相を究明してほしい」(プ・スンチャン報道官)と述べた。