「中国人ビザなし入国反対!」「火災現場の監視カメラを公開せよ!」
ソウル市内で「嫌中集会」を主催してきた保守系団体「民衆決死隊」が29日、ソウル市汝矣島(ヨイド)の国会議事堂前で「国家情報資源管理院(国情資院)の火災真相究明要求および中国人ビザなし入国反対」と題する集会を開いた。「天滅中共」(天が中共を滅ぼす)と書かれたTシャツを着た200人ほどを前に、司会者は26日に発生した国情資院の火災が「身元不詳の中国人を大量に呼び寄せようとする試み」だという荒唐無稽な主張を繰り返した。
中国人団体観光客のビザなし入国が実施された初日の29日、国情資院の火災まで中国人入国と関連付ける陰謀論が広がっている。法務部は出入国管理システムは今回の火災とは無関係だと説明したが、保守野党「国民の力」の政治家たちまでがそのような動きに加担し、嫌中感情をあおっている状況にある。
オンラインコミュニティ「DCインサイド」やX(旧ツイッター)などには、この日も「国情資院の火災は、中国人のビザなし入国に合わせて行政システムをまひさせて、身元不詳の中国人を呼び寄せようとする試み」だという主張を含む投稿が相次いだ。「月曜日に中国の特殊部隊が入ってくる」「あわせて不正選挙データも消そうとしている」といった内容もあった。12・3内乱事態以降、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の支持者の間で広がった「中国介入陰謀説」に、最近の事件を付け加えた内容にすぎないが、過激な保守系ユーチューバーも同様の主張を拡散している。
ビザなし入国に対する「国民の力」の政治家たちの過激な発言も、こうした荒唐無稽な陰謀論に拍車をかけている。ナ・ギョンウォン議員は、この日もフェイスブックに「法務部が出入国システムに問題がないとして、ビザなし入国政策を推し進めると明らかにしたが、後になって電子入国システムの障害のため入国者の住所入力は不要だとする緊急告知を掲載した」として、「犯罪、不法滞在、感染症拡大など、有事の際の迅速な対応が難しくなるのは避けられない」と主張した。同党のキム・ミンス最高委員もこの日、最高委員会で「(ビザなし入国で)不法滞在・不法就業が予想される。ビザなし制度を悪用した犯罪組織などの浸透の可能性がある」「伝染病や感染症拡大の可能性が高まる」として、恐怖をあおった。
与党は国民の力の「嫌中追求」を批判した。与党「共に民主党」のイ・オンジュ最高委員は、最高委員会議で「中国人ビザなし入国は、観光活性化を通じた民生経済再生の次元で尹錫悦政権時に決定されたもの」だとし、「野党の国会議員の荒唐無稽な主張は度を越しており、嘆かわしい」と述べた。