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「独生女」韓鶴子総裁、拘束の岐路…旧統一教会の国を作るために尹政権にロビー活動か

登録:2025-09-22 07:46 修正:2025-09-22 08:52
旧統一教会の韓鶴子総裁が17日午前、ソウル鍾路区のKT光化門ビルウェストに設置されているキム・ゴンヒ特検の事務所に出頭している=チョン・ヨンイル先任記者//ハンギョレ新聞社

 旧統一教会(世界平和統一家庭連合)のトップである韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁(82)が22日、キム・ゴンヒ女史と国民の力のクォン・ソンドン議員に各種請託を行うとともに金品を渡した疑い(請託禁止法・政治資金法違反)などでソウル中央地裁で拘束前被疑者尋問(令状実質審査)を受ける。同教団のユン・ヨンホ元世界本部長が同じ容疑で先月18日に起訴されて以降、韓総裁はユン元本部長の「個人的犯行」だとして、自身に責任はないと強調している。だが、旧統一教会の教理と組織体系、そして「すべての事案を総裁に報告したうえで推進した」というユン元本部長の供述などを総合すれば、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に対する旧統一教会のロビー活動は韓総裁の指示と承認なしには行えない、というのが特検チームの判断だ。

 韓総裁は夫で旧統一教会創始者の文鮮明(ムン・ソンミョン)氏が死亡した2012年9月3日から、教団の最高指導権を行使している。韓総裁は1960年4月11日に、当時としても幼い17歳で23歳年上の文総裁と結婚し、21年間で7男7女をもうけた。文総裁夫妻は「メシア(救世主)」を意味する「真の父母」と呼ばれたが、韓総裁は夫の死後、自然と「真のお母様」として、いわゆる「独生女(神の唯一の直系血統の娘)理論」という新たな教理を掲げ、組織の実権を掌握した。韓総裁は今月17日の特検チームによる事情聴取でも「独生女理論」を説いたという。旧統一教会は家庭を平和と幸せの根本単位と考えて「子どもを愛と御言葉で養育しなければならない」(2012年9月の旧統一教会世界指導者特別集会での韓総裁の発言)と強調しているが、韓総裁は後継構図をめぐって自身の子どもたちと長きにわたって紛争を抱えてきたため、リーダーシップがぐらついており、内部からは「独生女理論は文鮮明前総裁が打ち立てた教理とは異なる」との批判の声もあがっている。

 韓総裁は「真の父母の意思が実現する国(天主平和統一国)を作らなければならない」という自身の教理に沿って「政教一致」を掲げ、日本の自民党、米国の共和党を支援しつつ、これらの党と密接な関係を結んできた。国内でも影響力を拡大するために2021年末から友好的な関係を結ぶべき大統領候補を物色していた、というのが特検チームの見方だ。特検チームは、ユン元本部長が主犯ではあるものの、韓総裁がこれを指示・承認し、数十年間にわたり韓総裁に随行してきたJ秘書室長がこれを補佐しつつ共謀したとみている。韓総裁とともに拘束令状が請求されたJ室長も、22日に令状実質審査を受ける。

 韓総裁は、2022年1月にクォン議員に対して1億ウォンの違法な政治資金、2022年4月から7月にかけて「コンジン法師」チョン・ソンベ氏を通じてキム女史に高価な金品を渡すようユン元本部長に指示した疑いなどが持たれている。韓総裁は「私にそんな必要があるのか」と述べて容疑を強く否認している。特検チームは、韓総裁が2022年2月から3月にかけてクォン議員に金品入りの紙袋を2度渡していたこともつかんでいるが、韓総裁は特検の事情聴取で「小額のお年玉とネクタイを渡した」と述べ、クォン議員に違法な政治資金を渡したことはないと主張している。特検チームは、韓総裁によるさらなる違法政治資金供与の疑いについても捜査する計画だ。

 韓総裁の令状実質審査を翌日に控えた21日、旧統一教会は公式声明で、「韓鶴子総裁は一生を天の父母様の解放と人類救済、恒久的平和理想世界の実現のために全世界190カ国あまりを巡りつつ、祈りと誠意で天の父母様の下で人類一家族天一国の理想の実現のために生きてこられた方」だとして、「韓総裁様は、いかなる違法な政治的請託および金銭取引も指示したことがない」と述べた。

キム・ガユン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1219911.html韓国語原文入力:2025-09-22 05:00
訳D.K

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